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ナギは焦っていた。ロリカ地域に向かったメイの安否をいち早く確かめるためにロリカ地域へ急いだ。森を抜け洞窟を抜けユハンラ地方へと入る。
(メイ…!まだ生きてる、よな)
名前を覚えているということはまだメイは生きているということ。それでもまだ安心はできない。メイの姿を見るまでナギは落ち着いていられなかった。
(…!)
ユハンラ地方を渡ろうとしたとき、ロリカ地域のほうから何かがこっちに向かって走ってくるのが見えた。ナギは目をこらして見つめると、紫色をしたチョコボだとわかった。そのチョコボがメイのニンジャチョコボだとすぐに気付いたナギは、慌ててチョコボに駆け寄る。 ニンジャチョコボはナギに気付くと足を止めた。
「お前っ…!メイはどこに」 「クエッ!」
チョコボは着いてこいと言わんばかりに、走ってきた道に向かってもう一度走り出した。ナギは走り出したチョコボを追い掛ける。ニンジャチョコボの身体はところどころ怪我を負っているのがわかった。
(頼むから無事でいてくれよ…!)
ロリカ地域に入るとナギの目の前に大きなクレーターが現れた。アルテマ弾の威力にナギは自然と足が止まり、殺風景な光景に呆然とする。クレーターの中にある洞窟から微かに血の匂いと火薬の匂いがした。ナギは顔を歪ませ、ニンジャチョコボの後を追い掛ける。
森の前にある岩場にチョコボは立ち止まる。ナギも足を止め辺りを見渡したが、メイの姿は見当たらなかった。
「…っ」
どこにいるんだよ! やりきれない思いにナギは岩場を思いっきり蹴る。するとチョコボがナギの背中をクチバシで押し、こっちへ来いと促した。ナギはチョコボに押されるがままになっていると、地面に何か黒いモノが落ちていた。 ナギは腰をおろし、それを手に取ると黒いモノの正体がわかったのか拳を強く握り締め歯を食い縛った。
「…っちくしょ…!」
メイはここには居ない。そうナギは悟る。ナギは粉々になったそれをポケットに仕舞い、チョコボの背中を撫でる。チョコボはナギにクチバシで、ある小さいノートを渡した。 それを受け取りページを捲ると、そこにはロリカ地域に侵入した際の事細かな情報が書かれていた。それがメイの字だとわかると同時に、ここにメイがいないということはもしかしたら皇国に捕らわれたのでは、とナギは考えた。だが皇国は人質を捕らないはず、とナギは眉間に皺を寄せる。
「…皇国に侵入するしかないか」
そう呟くと、ニンジャチョコボと一緒にロリカ地域を後にする。ナギは自分が助けに行くまで無事で居てほしいと願ってやまないのだった。
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