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 トゴレス要塞に入り全機密文書を急いで回収する作業へと当たった。


──中枢部 第一研究所


 まずはそこに向かう。そこへ向かう途中、皇国兵の迎撃に遇うがそれを一蹴して進んで行く。動力ゲートに着くと軍神ガーディアンの姿があった。


「軍神ガーディアン…!」
「こいつは俺らじゃ歯が立たない!無視して文書だけ回収しに行くぞ!」


 そう言うとナギはガーディアンの攻撃をかわし、第一研究所へと入って行った。私もガーディアンが攻撃してくる前に研究所へ向かう。そこで何か違和感を感じた私は、研究所に入ると足を止め振り返る。


(あのガーディアン…私には攻撃してこようとしなかった…ような)


 私が感じた違和感とはそれだった。いやでも私の勘違いかもしれない、ただ単にガーディアンが私に気付かなかっただけだろう。


「おい!どうかしたか?」
「あ、いや。ごめん、今探す」


 敵に見付かる前に早く文書を探し出さなければならない。私も机付近を探す。すると一枚の真新しい紙きれが目に入った。それを手に取り見てみると"魔力増加研究報告"と書かれていた。これが文書なのだろう。
 他に本棚を探るとまた一枚の紙きれを見つける。そこには"禁呪復活の考察"と書いてあった。


「ナギ、こっち2つ見つけた」
「俺も見つけたぜ。ここはこれだけのようだな…よし、次行くぞ!」


 私は文書を懐にしまい次は第二研究所を目指して研究所を出た。研究所を出てガーディアンの攻撃を掻い潜って動力ゲートを通過する。動力ゲートからサンプル保管所を通り回廊へと続く道を行こうとしたら、急に足が止まった。
 サンプル保管所の中でどうしてかイヤな予感がしたからだ。ここには敵もいないし他におかしなところはない。でもどうしてか気になってしまう。まるでここで何かが起こると予言しているかのように。


「メイ?」
「っ!」


 ナギが心配そうに顔を覗き込んできた。私は大丈夫と言いサンプル保管所を後にする。どうか何も起きませんように、そう祈るしかなかった。

 回廊に出たとき数人の皇国兵が襲いかかってきた。それを難なく倒し、回廊から資材置場へと出る。ここを過ぎたら第二研究所だ。敵の攻撃を避けつつ一撃で仕留めていく。ふとナギを盗み見るとちょうどクァールと戦っていた。
 私はナギの援護に回ろうとプロテスを唱える。

 あれ?そういえば私、今までクァールと交戦していない?

 ナギにプロテスをかけ終わるとクァールのほうを見る。クァールはナギだけを見ていて、まるで私は眼中にないという様子だった。たった2人で行動しているのに気付かないわけがない。クァールはどうして私に攻撃を仕掛けてこないのだろうか。
 余計なことばかり考えていたらいつの間にかナギがクァールを倒し終わっていた。


「メイ、本当大丈夫か?」
「あ、うん、全然大丈夫!」


 気のせいだ。もしかしたら私よりナギから先に優先するよう命じられていたのかも。そう自分の中で言い聞かせた。

 第二研究所に入り手分けして文書を探す。本棚を調べていたら紙きれが足元に落ちた。それを拾うと紙には"魔法強化報告"と書かれてあった。


「ナギ、こっち1つ見つけた」
「俺もだ。あと少しだな」


 第二研究所ではこれだけしか見つからなかったため私たちは外に出る。外にいた皇国兵を倒せど倒せどどんどん沸き出てきてキリがない。私たちはずっと戦っていても埒があかないと判断し皇国兵の攻撃をかわしながら文書を探すことにした。

 北門から西階段、そして正面階段に着くと無線が入りその周辺に文書があるとの連絡が入った。建物内から出てくるコロッサスや皇国兵を倒しながら辺りをくまなく探す。


「!あった!」


 正面階段の入口に文書が落ちているのを見つけ、それを拾い上げコロッサスが放った銃弾攻撃を避ける。ナギと合流するとまた無線が入った。


『シグナルの最後のひとつが北の森へ向け移動中。機密文書の処理はいかなる事態にも優先されるわ、急いで!』


 私たちは顔を合わせ頷くと正面階段から森のほうへと走った。

 北の森へ向かって走っているとまた無線が入る。


『シグナルの発信源によりコードが送られてきたわ。送られてきたコードは朱雀のもので間違いないわね。どうも独自で回収をはかり変装しているそうよ。姿形に惑わされないで』
「「了解」」


 暫くして数人の皇国兵の後ろ姿が見えた。あの中に文書を持っている奴がいるのだろう。私たちは不意討ちを狙って次々と皇国兵を殺していく。


「ナギ!あいつ!」
「ああ!」


 普通の皇国兵と違う服装を纏っている人物を発見する。多分あいつが皇国軍の中で多少なりとも偉くて、文書も持っているに違いない。私たちはその人物に絞り2人で襲いかかった。


「ゔあ゙あ゙っ!」


 倒れた皇国兵の懐を探ると文書らしき物が出てきた。この偉いやつが倒されたからか他の皇国兵は戦意を失い逃げて行く。


「……終わった、ね」
「ああ、お疲れさん」


 そう言いながらナギは私の頭に手を置いて微笑んだ。