21
早朝、任務へ向けてナギと一緒にコルシを後にした。トゴレス要塞付近の森の中で私とナギは合図が出るまで待機する。
『行くぞ!』
無線で合図が出ると、私とナギは皇国兵に向かって走り出した。辺りは霧が出ていて見にくいけれど、目と耳をすませ素早くそして確実に皇国兵やプロメテウスを仕留めていく。
「メイ!」 「!」
コロッサスの銃弾が私に向かって放たれたらしく、それを私は間一髪避けると大きな音と衝撃が辺りに響き渡る。コロッサスに顔を向けるとナギがコロッサスに向かってサンダーを放っていた。不意討ちをくらったためかコロッサスは崩れ爆発する。ナギが駆け寄って来そうになったので、私は片手を上げて大丈夫だとサインを送る。重機関銃兵を次々に殺し、私たちはトゴレス要塞近郊へと急いだ。
トゴレス要塞近郊に着くと、待ってましたと言わんばかりにニムロッドを中心に私たちへ攻撃を仕掛けてきた。何人かがニムロッドやストライカーの攻撃で負傷しているのがわかる。 しかし、そちらを気にしている暇も私たちには残されていない。自分の身は自分で守るしかないのと、先に殺られてしまう前に相手を殺らなければ終わらないから。
一通り倒し終わり一息つく。ふと周りを見渡すと何人かの候補生が倒れていた。 私は微かに意識がある候補生に駆け寄り、慌ててケアルを唱えて手当てを施そうとしたが倒れている候補生が私の手を掴む。
「私なら……はぁ…もう、いいから……先に…行って…」 「え…でも、」 「は、あ……自分でも、分かる…もう、駄目なの…がさ……」 「そんな、」 「メイ」 「………ナギ…」
ナギが私の肩を掴み首を横に振る。私は顔を俯かせケアルを唱えるのをやめ、そして死にゆく候補生の手を握り返した。
「…あな…たたちは、死なないで…」 「…わかった」 「……ふぅ…ちょっと…疲れちゃった…先に逝ってるね…おやす…み…」 「………おやすみ」
候補生の手の力がなくなる。私はそっと反対の手を取りお腹の上に両手を合わせ乗せ、候補生の前で手を合わせたあと、静かに腰を上げた。
「…行こう、ナギ」 「…おう」
『まずは地下倉庫へ向かい民間人を救出して』
その無線を聞いた私たちはトゴレス要塞へと侵入した。
地下倉庫に着くとすでに民間人は息絶えていた。小さな子どもからお年寄りまで、皇国軍は容赦なかった。ナギは無線でこの状況を報告する。
「民間人の救出は手遅れ。09区の生存者0」 『わかった。ミッションに戻りなさい』 「了解」
私は座り手を合わせ亡くなっている人たちへ冥福を祈る。 皇国兵は捕虜は捕らない。自分たちで精一杯だからだ。同じ人間なのに容赦しない皇国軍に怒りさえ覚える。少ししてナギが声をかけると同時に地下倉庫から出る。私たちは次にトゴレス要塞内部にある、全機密文書を入手するという任務へと移った。
|