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 私とジャックはビッグブリッジに残り後方から攻めてくる皇国軍の相手を、他の皆はジャマーを破壊しに二手に分かれた。ぞろぞろと現れるコロッサスに、私は大きく息を吸い、武器を構える。ジャックも武器を構え、攻撃態勢に入った。


『ジャマー搭載型魔導アーマーを撃破するまで時間を稼ぐクポ!』
「りょーかぁい!いっくよー!」
「ちょ、待っ、プロテス!」


 ジャックが駆け出していくのを追いながらプロテスを唱え、ジャックと自分にかける。薄いベールが私とジャックの身体を包み込んだ。ジャックの隣に行くと、今度はウォールを詠唱する。
 迫ってくるコロッサスに、ジャックはニヤリと笑い口を開いた。


「悪いんだけど、ここから先通せないんだよねぇー」


 そう言うジャックに向かってコロッサスがミサイルを放つ。それを躱したジャックは、コロッサスに斬りかかった。
 ジャックは他の皆より攻撃力が高く、前衛としては優秀だった。体力が低い敵なら一撃で倒すこともできる。ただ弱点として、刀を持っていると速く移動するのが難しく、魔法も決して得意とは言えなかった。
 そこをフォローするように私はウォールをかけたあと、すぐにインビジを詠唱する。


「敵はふたりだ!何をしている!早く橋を奪還しろ!」
『皇国軍が総力をあげてビッグブリッジに攻めてきてるクポ!』
「マジ?あはは、笑えないよー」
「いや笑ってるし…」


 その声とモーグリの通信にジャックは笑いながらコロッサスを破壊する。コロッサスは残り二体だ。一旦武器をしまいミサイルをかわしながらコロッサスへ近づく。ジャックが再び刀を構えたとき、私はインビジを唱えた。フッと私とジャックの姿が消える。


「おー、インビジ?だっけ?メイってばそんな呪文もできるんだねぇ」
「まぁそれなりにね。ほら、今のうちにやっちゃおう」
「おっしぁー!ってね」
「…ナインの真似?」
「そう!似てるー?」
「……似てない」


 ジャックのナインの真似に苦笑いを浮かべ、もう一体のコロッサスに向けて走り出す。相手は姿が見えない私たちに戸惑っているのか、全く的はずれなところへミサイルを撃っていた。
 私はコロッサスの攻撃が当たらないように、ミサイルの障害物となる場所に身を隠しサンダーを限界まで詠唱する。詠唱はすぐに終わり、私はコロッサスに向けてサンダガを放った。


「サンダガ!」
「ぐあ…!」


 コロッサスの機内にいる皇国兵が呻き声が聞こえコロッサスは動きが止まり、やがて爆発を起こす。ホッと安堵しながらジャックに振り返ると、コロッサスの姿はなく私に向かってピースするジャックの姿があった。


「ぐずぐずするな!前に進め!」


 声と足音が同時に聞こえ、クァールと皇国兵が現れる。インビジの効果は消え、お互い相手に姿が見えていた。クァールはジャック目掛けて一直線に駆け出している。やっぱりクァールは私を狙うつもりはないらしい。


「おっと!じゃ僕がクァールの相手するから、メイは皇国兵よろしくねー!」
「!、わかった!」


 クァール二匹の相手をするジャックに、私は気休めにプロテスをかけ直し皇国兵の相手をする。一人は少し離れた場所で銃撃し、もう一人が囮になるように襲い掛かってきた。銃撃を抑えるためにウォールを張り、襲い掛かってくる皇国兵の相手をする。
 銃を振り上げるタイミングを見計らい小刀で首もとを斬りつけた。斬られた皇国兵の血が地面を濡らし身体が崩れ落ちる。皇国兵のファントマを抜き終わると、もう一人のほうへと視線を移した。びくりと身体を跳ねさせる皇国兵に向かって地面を蹴る。


「う、うわあぁー!」


 皇国兵は気が狂ったように銃を乱射してきた。ウォールを自身にかけ、そのまま皇国兵へ突進する。銃撃を少し受けたが、ウォールのお陰で傷は浅い。私はそのまま皇国兵の手を斬りつけ、手から地面に落ちた銃剣を蹴り飛ばし喉元目掛けて小刀を振るった。辺りに血飛沫が飛ぶ。
 地面に倒れる皇国兵のファントマを抜き取ると、新たな皇国兵が後方から現れた。銃撃を避けているとふと何かが背中に当たる。それが何なのかすぐにわかった。


「調子はどーお?」
「…絶好調かな」
「僕もー。メイがいるからかなぁ、すっごい調子がいいんだよねぇ」
「お喋りしてる余裕があるくらいだもん、ねっ」


 語尾を強調させながらファイアを放つ。それは見事皇国兵に当たり、勢いよく燃え上がった。ジャックも襲い掛かってくるクァールを見切り反撃を加える。それを横目に、私は自然と口元があがった。

 皇国兵とクァールを倒していくと、モーグリから通信が入る。


『任務変更クポ!』
「へ?任務変更ー?」
『皇国軍将校アントニオ中尉がビッグブリッジに現れたクポ!何としても撃破するクポ!』
「アントニオ中尉…?」


 皇国兵のファントマを抜きながらモーグリの通信に眉をひそめた。そこへ、不意に魔導アーマーが現れる。火炎放射をしてくる魔導アーマーに、私は大きく後ろに飛びそれを回避した。


「あれっぽいねー」
「だね…」


 アントニオ中尉が乗っている魔導アーマーは低空飛行で、ミサイルや火炎放射、閃光手榴弾で攻撃をする空中機動兵だった。
 皇国兵は全て倒し終わったが、クァールはどれだけ倒しても全く途切れる気配はない。ジャックだけを狙うクァールに、狙われてる本人も苦しそうに顔を歪ませていた。そしてクァールがジャックを狙っていることに気付いたアントニオ中尉は、私の攻撃を避けつつジャックへ攻撃を集中させる。
 私は舌打ちをしてこの状況をどうするか思考を巡らしていると、ある出来事が脳裏をよぎった。


(一か八か…)


 クァールが出てくるところをちらりと見て、ジャックにウォール、プロテス、ケアルをかけたあと、ある場所へ駆け出した。