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 0組は指令部へ向かう途中、何者かに襲撃され、地面へ引き摺られてしまう。0組を襲撃してきたのは青龍人で、敵味方関係なく襲っているようだった。
 青龍人から襲われながらも何とか地上へと辿り着く。地上へ出るとCOMMから通信兵の悲鳴が聞こえてきた。


『巨大な龍に遭遇!?こいつ喰ってるのか…う、うわぁー!!』


 その叫び声を最後にCOMMは切れてしまった。動揺する0組のもとに、モーグリから指示が出される。


『皆のところに戻るクポ!飛空艇に向かい、状況を確認するクポ!』


 その連絡に0組はお互い頷き合うと指令部から一斉に走り出した。
 指令部を飛び出した0組の目に映ったのは、五星龍の姿だった。五星龍は咆哮をあげながら、候補生に襲いかかっていた。その姿に0組は圧倒される。
 五星龍が火を吐き道が崩れていく。それを目の当たりにした0組は慌てて足を動かした。


「何ボサッとしてるんだ!?」
「!」


 少し進むとナギが0組の前に颯爽と現れる。焦りが顔色に出ているナギを見て0組にも緊張感が走った。


「こっちだこっち!」


 ナギはどうやら脱出地点にある飛空艇までの道を案内してくれるようだった。その言葉に甘えて、0組はナギの後を追いかける。
 時折崩れる道に足止めされながらも、少し先にナギが0組を待ち伏せてくれていた。数メートル先を走るナギは0組に向かって声をかける。


「急いで急いで!」


 崩れそうな道もナギは軽い身のこなしで進んでいく。その姿に0組は少しだけ感心した。
 蒼龍兵やモンスターに襲われながらも必死にナギを追いかける。今の0組には蒼龍兵やモンスターの相手をする余裕もなかった。

 やっとの思いで脱出艇停泊所に着くが飛空艇は今にも出発しそうだった。
 ナギは0組を急かしながら飛空艇へ走る。0組もナギに続いて飛空艇へ急ぐが、その道中、0組に向かって飛んでくるヨクリュウに道を遮られてしまった。


『足場が限界だ!発進する!』
「待ってくれー!」


 候補生がそう叫ぶ声も虚しく、飛空艇は候補生と0組を残して飛び立ってしまった。
 未だ残っている候補生と0組を置き去りにした飛空艇の操縦士にナギは舌打ちをする。どうにか自分は乗れることができたが、他の候補生や0組は間に合わなかったことに罪悪感に苛まれた。
 どうにかして0組や他の候補生を迎えに行く方法がないかと思考させる。すると、通信兵から連絡が入った。


「敵が接近中!」
「!」


 敵襲かと上を見上げれば、そこには一体のヒリュウが攻撃を仕掛けてくる様子もなくただ佇んでいた。その様子にナギは眉を寄せて凝視していると、そのヒリュウから何かが落ちてくるのに気付いた。
 落ちてくる何かに目を細めるとその何かの正体が人間だとわかる。同時に見覚えのある服装に目を見張った。


「連射砲の準備!」
「いや待て!!」


 ヒリュウに向かって連射砲を定めるも、そこにヒリュウはもう居らず、落ちてくる何かに連射砲を定める。ナギは慌てて連射砲を構える候補生に駆け寄り、それを止めた。


「何をす…」
「あれは敵じゃない!!」
「!?」


 そう周りに聞こえるようにナギは叫ぶ。その言葉に候補生や朱雀兵は目を丸くさせた。
 そして、甲板に降り立つ人物に周りはざわめく。ナギは周りのざわめきなんてお構いなしに駆け出した。