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――午前4時18分
蒼龍軍ルシ・ソウリュウのブレス攻撃を契機に会戦は開始された。 ソウリュウのブレスによって雲は氷り、氷原となりそこに飛空艇がいくつか巻き込まれたようで、通信が途絶えたり、鈍くなる部隊が出てきていた。私たちの乗っている飛空艇も少し衝撃を受けたが、ブレスには巻き込まれなかったようで飛行は可能だった。
「大丈夫か!」 「何とか…」 「ソウリュウのブレス攻撃を機に蒼龍軍が動き出しました!」
その言葉を聞き、慌てて窓へと駆け寄る。ソウリュウのブレス攻撃の勢いに乗って蒼龍軍が動き出した。ドラゴン部隊が飛空艇に向かって攻撃を繰り出している。その攻撃に飛空艇から候補生が朱雀タレットを使い応戦しているが、相手はドラゴンだ。自在に飛ぶドラゴンに、候補生は苦戦を強いられていた。 私も目を凝らし、敵部隊の状況を瞬時に各飛空艇の通信兵へ連絡をする。
「敵部隊確認。各員連射砲で応戦せよ!」 「甲板に竜を確認!戦闘員は甲板の竜を排除しろ!」
様々な情報があちらこちらに飛び交う。 飛空艇にはひとつひとつ名前があり、私が注視・監視する担当は0組のアキシモ飛空艇だ。アキシモは今のところドラゴン部隊に巻き込まれない位置で停止している。0組を投入する前にやるべきことがあった。それまでは待機するよう命じられているのだ。
――午前4時22分
朱雀軍の隊列の乱れに乗じて蒼龍軍先鋒の『衝天隊』『激兵隊』が朱雀軍と接触。交戦を開始した。 その報せを受けると、朱雀軍独立第七召喚連隊に軍神バハムートを召喚するよう命じる。召喚連隊はそれを受け、すぐに召喚の準備を始めた。 その召喚部隊の飛空艇へ攻撃を受けさせないよう、他の飛空艇に護るよう通信を介し軍神召喚の万全を施す。
――午前4時27分
蒼龍軍の攻勢に対し、朱雀軍は軍神バハムートで迎撃する。 バハムートの投入により、ドラゴン部隊に打撃を与えた。朱雀軍はそこに追い討ちをかけるかのように、朱雀軍独立第十一召喚連隊に軍神オーディンを召喚するよう命じた。報を受けた第十一召喚連隊は召喚の準備をする。先程同様、召喚部隊を護るように近くの飛空艇へ通信を回す。
――午前4時39分
軍神バハムートの攻撃でドラゴンを一蹴し朱雀は体勢を建て直しにかかった。さらに軍神オーディンの召喚にも成功し、攻勢は一気に朱雀へ傾くかに思われた。
――午前4時40分
軍神オーディンの攻撃により何百ものドラゴンが死に落ちた。召喚獣の投入により朱雀軍は蒼龍軍先鋒を押し返すのに成功した。
「軍神さえあれば行ける…!」 「あぁ、もしかしたら勝てるかも…」
そう溢す候補生に耳を傾けながら、私は食い入るように外を見つめる。軍神のお陰で攻勢は何とか立て直せたが、でも軍神だけで行けるとは思えなかった。ルシ・ソウリュウのことが気になる。あと、ホシヒメさんのこともだ。ルシであるホシヒメさんもこの戦に必ず出てくるはず。いつ出てくるかはわからないが、ルシの力は計り知れない。軍神でも勝てるかもわからないのだ。 ふと視線を上に上げるとそこにはソウリュウがいて、ドラゴンを次々に倒していく軍神バハムートを見つめていた。嫌な予感がする。私の視線はソウリュウに釘付けだった。
そしてソウリュウは大きな口を開け、青い光を軍神バハムートに向けて放つ。
「ソウリュウのブレス攻撃が来ます!」
そう声を上げるが、声をあげたときにはもう遅く、辺りは一気に青白い光に包まれた。
――午前4時47分
蒼龍軍先鋒を後退させ、なおも前進を続ける召喚獣を、ルシ・ソウリュウのブレス攻撃が襲った。軍神バハムートはソウリュウのブレスによって死に、オーディンもそのブレスに巻き込まれる形によって死んでしまう。
それを目の当たりにした候補生らは悲鳴にも似た声をあげ、膝から崩れ落ちる候補生もいた。死に行く軍神を見て、グッと拳を握る。
「どうするんだ、軍神までもが殺られた…!」 「このままじゃ、私たちも…」
戸惑いの声をあげる候補生に、私の元に9組のモーグリから連絡が入った。
『0組を投入するクポ、メイ!アキシモに集中するクポ!』 「はい!」 『あと、シュユ卿がそちらに向かうクポ。巻き込まれないように注意するクポ!』 「!シュユ卿が…!」
その瞬間、ソウリュウのブレスが再び襲い掛かろうとしていた。青白い光に目を細め、衝撃に備えようとした時、真っ赤な炎がソウリュウのブレスをはね除ける。それを見てシュユ卿が来たのだとわかった。
――午前4時51分
ここで、朱雀のルシ・シュユは蒼龍のルシ・ソウリュウとの交戦に入った。
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