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ベスネル鍾乳洞へ入ったナギとジャックは早速ベヒーモスと対峙していた。ナギはベヒーモスの攻撃をひょいひょい避けるが、ジャックは準備運動を怠ったからか動きがまだ鈍っていた。
「早く来いっつーの!」 「いやーさっき起きたばっかりだからまだ身体が動かなくってさー」
暢気なことを言いながらジャックはベヒーモスの攻撃をギリギリで避ける。そんな暢気な状態でよく攻撃を避けられるな、とナギは思った。 やっとガーブの洞道を抜け、ガーブ別れに差し掛かった二人の前に、2匹のベヒーモスが立ちはだかった。ジャックはそれを見て一瞬顔を強張らせたが直ぐに逃げる態勢に入り、気合いの声をあげる。
「よぉし!行くぞー!」 「あ!おいそっちは行き止まりだ!正しい道はこっち!」 「!わ、わかってるよ!」
ナギにそう指摘されジャックは慌てて方向転換をする。襲い掛かってくるベヒーモスに悪戦苦闘しながらも二人は順調に進んでいった。 走っている途中にナギがジャックに話し掛ける。
「?どうしたのさ」 「ここからキングベヒーモスが出てくる。普通のベヒーモスよりも厄介なモンスターだ」 「うん、だから?」 「気を引き締めて行けよ」
それだけ言うとナギはさっきよりも速く走り出す。何を急に言うんだ、とジャックは首を傾げながらもナギの後を着いて行った。
北に続く洞道に着くとナギの言った通り、さっき襲い掛かってきたベヒーモスよりも全体的に色が違うベヒーモスが現れた。これがナギの言ってたキングベヒーモスかぁ、と暢気なことを思いながら攻撃を避ける。 まだ一匹だけだから良いものの、これが二匹とかになったら危険かもなぁ、と危惧しながらオゼ別れに入ると、二人の前にキングベヒーモスとベヒーモスが現れ襲い掛かってきた。
げ、とジャックは顔を歪ませるが、攻撃をなんとか避けナギに着いていこうとしたら、避けきったはずのキングベヒーモスがジャックに向かって突進してきた。その気配を感じたジャックが慌てて後ろを振り向くがキングベヒーモスはもうすぐ目の前にいて、咄嗟に自身の武器で攻撃を防ぐ。
「うっ…!」 「ジャック!」
キングベヒーモスを刀でギリギリ受け止めることはできたが、その力は強靭で刀を持っている両手がビリビリと痺れる。 ここで引けば殺られる。ジャックの本能がそう言っていた。 見兼ねたナギがもう片方のベヒーモスを怯ませると、キングベヒーモスがジャックに気を取られているうちに後ろからブリザガを唱え魔法攻撃を繰り出した。
「ガァッ…!?」 「!」 「早くこっち来い!」
ブリザガをもろに食らったキングベヒーモスが怯む。ナギの叫び声にジャックはすぐ武器をしまい、駆け出した。 ナギの真後ろには先ほどナギに怯まされたであろうベヒーモスが、大きな手を振り上げているのに気付いたジャックは目を細めて一気にナギとの距離を縮め腰に手をかけ、思いっきり引き抜いた。
「おわっ!?」
ジャックの行動にナギは間一髪避けると、ズシン、と何かが倒れる音がして咄嗟にそちらに目を向ける。そこにはさっき自身が怯ませただろうベヒーモスが倒れていた。
「危なかったねぇー」 「お、おう…つーか言えよ!」 「言うよりも攻撃したほうが早かったからさー」 「避けなかったら巻き込まれてただろ!」
そう捲し立てるが当の本人はヘラヘラ笑いながら、ナギなら避けられると思ってーと返してきた。呆れて物も言えないナギに、ジャックは武器をしまって早く行こう、と催促する。キングベヒーモスは未だ怯んだままで、ナギは踵を返し目的地へと走り出した。
「それにさ、借りは作りたくないからねぇ」 「あ?」 「いやー何にも」
そんなやり取りをしながらダイヤの原石のある、滝つぼへと向かうのだった。
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