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メイがナギを探す数日前、トキトの依頼を受けたナギは魔導院を勢いよく出ていったジャックを慌てて追いかけた。 魔導院を出ると街が広がる。道行く人を避けジャックの名前を呼べば、ジャックは動かしていた足を止めてナギに振り返った。
「なーに?」 「なーに?じゃねぇよ。お前ダイヤの原石の在処知ってんのか?」 「………あ」
ナギの言葉にジャックはポカンと口を開け、間抜けな声を出す。そんなジャックにナギはわざとらしく溜め息を吐いた。その溜め息にジャックは眉をひそめる。
「知らねぇくせに勢いよく出ていくなよな…」 「…そういうナギはダイヤの原石がどこにあるか知ってるの?」 「当たり前だろ。俺を誰だと思ってんだよ」
フフン、と鼻で笑いどや顔をするナギにジャックは顔をしかめる。興味無さそうにフーン、と呟けばナギは悔しいか?と意地の悪い笑みを浮かべて言うのでジャックは笑顔でそんなことないよーと言うしかなかった。
「じゃあ、早く行こうよ」 「まぁ待てって。行くには行くが…ダイヤの原石があるメロエ地方はまだ皇国の占領下なんだよ」 「え、そうなの?」
今はまだメロエ地方は皇国の占領下にあり、侵入ができないでいた。ダイヤの原石はメロエ地方にある、と言うナギにジャックは腕を組みうーん、と唸る。 侵入ができないならダイヤの原石は取りに行けない。じゃあどうしたら侵入できるのだろう。 唸るジャックを見てナギは大丈夫だろ、と口を開いた。
「?どういうこと?」 「メロエの町を中心に今度朱雀が、メロエ地方を奪還する作戦を実行するらしいぜ」
だから大丈夫だとナギは言いたいのだろう。それを聞いたジャックはホッと安堵の息を吐くが、ん?と眉を寄せてナギに目を移した。
「ねぇもしかして、その作戦が終わるまでダイヤの原石は取りに行けないってこと?」 「へぇ、今日は冴えてんなぁ。雪でも降るんじゃねぇ?」
空を見上げて冗談を言うナギにジャックはムッとするが、否定しないその言葉を聞いて溜め息をついた。この際ダイヤの原石のある場所を聞いて1人で行ってやろう、そう思ったジャックはダイヤの原石はどこにあるのか、とナギに問い掛ける。しかしナギは口元を片方上げて腕を組み鼻で笑った。
「場所を教えるとお前1人で行こうとするだろーが」 「………」
ジャックの心を読んだのかそれともたまたまなのか、そう言い切るナギにジャックは言い返すことができず口を尖らせふてくされる。そう簡単には教えてくれないらしい。 ちぇ、と舌打ちするジャックにナギは図星かよ、と苦笑を浮かべるのだった。
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