129.5




 トグアの町に侵入し、襲い掛かってくる皇国兵や魔導アーマーを倒していく。
 ジャックはトグアの町に入った辺りから落ち着かないのかソワソワしていた。そんなジャックを見兼ねたキングが声をかける。


「どうかしたのか、ジャック」
「!え、な、何でもないよー」
「それにしては落ち着かない様子だな。何かあったんだろ?」
「…うーん、なーんか…嫌な予感がするんだよねぇ」
「嫌な予感…?」


 その嫌な予感が何かはわからない。だけど何故か自分はここにいてはいけない気がしてならなかった。
 エイボンの要塞に目を移すと、胸の奥が苦しくなる。
 あそこに何があるかはわからないが、でもどうしてか今すぐに向かわなきゃいけない気がした。


「キング…、僕…今すぐエイボンに行かなきゃいけない気がする…」
「…自分の思うように動いてみたらどうだ?あいつらもわかってくれるだろ」
「!」
「その代わり無茶はするなよ。俺たちもここを制圧したらすぐエイボンに向かう」
「うん!無茶はしない!ありがとう、キング!」


 パッと顔を明るくさせて、ジャックはチョコボを呼び出す。現れたチョコボに飛び乗ると、エイボンに向かって一目散に走り出した。
 それをキングは後ろから見守る。


「全く、ジャックは本当にしょうがないですね」
「…クイーンか」
「あなたも、最近ジャックに甘くないですか?…まぁ、その気持ちはわからなくもないですが」


 クイーンは眼鏡を上げて、呆れたように肩を落とす。そんなクイーンにキングはフッと笑い、ジャックの姿が見えなくなった場所を見つめて口を開いた。


「あいつの嫌な予感っていうのは、メイのこと以外にないだろうからな」
「…本当に、しょうがないですね」


 ジャックやメイの身に何かある前に、早く自分達もエイボンに向かわなければ、とキングとクイーンは踵を返してトグアの町へと消えていった。