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 あのあと、すぐに0組が来てくれたお陰で飛行型魔導アーマーを追い返すことに成功した。
 飛行型魔導アーマーがトグアの町に引き返していくのを見て、モーグリに今のうちにトグアの町を制圧させるよう指示をする。トグアの町を制圧できたら残るはエイボンだけだ。
 私たちはトグアの町が落ちるのを見守ったあと、エイボンに向かおうとした。


「!ナギ!」
「どうした?」
「飛行型魔導アーマーが…!」


 トグアの町に向かう途中、私たちの頭上をあの飛行型魔導アーマーが通過していく。0組に追い込まれたはずなのにまだ動けることができるなんて、と息を飲む。
 魔導アーマーというのはどこまで進化していくのだろう。

 エイボンに向かう飛行型魔導アーマーを追っていくと、エンラ隊がいつの間にかエイボンへ攻撃をしているのが見えた。エンラの元気そうな姿にホッと安堵する。


「エンラ!」
「お、メイ!ナギ!さっきぶりだな」
「無事で何よりだよ」
「なんだ、まだくたばってなかったのか」
「へ、そう簡単にくたばるかよ。あとはここだけだ、頑張ろうぜ!」


 エンラの額から汗が流れ落ちていて、無理をしているのがわかる。そのことでエンラに再度声をかけようとするがここはグッと堪える。あとはエイボンだけだと自分に言い聞かせ、要塞を睨み付けた。


「エナジーウォールが解除されるぞ!」


 そう声をあげる朱雀兵に、私とナギはお互いを見て頷き合う。そしてエナジーウォールが解除されると共に、エイボンから飛行型魔導アーマーが出てきて、エイボンに攻撃中のエンラ隊に攻撃をし始めた。
 突然攻撃されたことにエンラ隊は防ぐことができず、攻撃をモロに受けてしまう。


「エンラ!」
「くっ…!さすが飛行型魔導アーマーだな…!普通の魔導アーマーとは桁違いだ」
「今助け」
「俺なら大丈夫だ!お前らは要塞に突入しなきゃいけねぇんだろ!」
「…っ」


 飛行型魔導アーマーの攻撃は止まない。
 エンラは傷を負いながらも大丈夫だ、と私たちに心配かけまいと声をかける。それを見て私もナギも言葉をつまらせた。そしてふと、私の中に疑問が生まれる。
 自分の大切な友達が目の前で傷を負っているのに、それを見過ごしてまで自分の任務を遂行しなければいけないのだろうか。私はそんなの嫌だ、でも、ナギならどうする?


「メイ!」
「ナ、」
「…エンラを援護する!」
「!う、うん!」


 ナギがエンラを援護すると言ったことに正直驚きを隠せなかった。ナギなら絶対、任務のほうを優先すると思ったからだ。
 エンラはナギを凝視したあと、何を思ってかフッと笑みを浮かべた。


「俺のかっこいいところ、台無しにしやがって」
「文句はこの作戦が終わってから聞いてやるよ。だから、死ぬなよ」
「…おう」


 エンラとナギのやり取りを少し羨ましく思った。