122
「リィドさんから連絡くれるなんて珍しいですね」 「お前が戻ったと聞いてな」
久しぶりにリィドさんから連絡を受け、飛空艇発着所へと足を運んだ。 リィドさんは玄武の血が流れているから、どの候補生よりも体が大きいので魔導院でも見つけやすい。ただ戦場でも見つけやすいし、見つかりやすく標的になりやすいのが難点かもしれない。 リィドさんとは私が17歳の頃、合同演習にて知り合った間柄だ。
「よく戻ってきたな」 「これも全部、0組のお陰ですよ」 「そうか」
フッと柔らかく微笑むリィドさんに、私も自然と頬が緩む。私にとってお兄さんみたいな存在でもあった。 リィドさんはふと私の頭を撫でる。どうしたんですか、と首を傾げて見上げたらリィドさんは少し眉間にシワを寄せて口を開いた。
「辛くはないか?」 「?何がです?」 「…オレはお前の味方だからな」 「…ありがとうございます」
どうやらリィドさんにも私の噂は耳にしているようで、余計な心配をかけてしまったな、と肩を落とす。だけどその反面、リィドさんがそう言ってくれて嬉しくもあった。
「また今度、鍛錬に付き合ってくださいね」 「もうお前にはオレは必要ないんじゃないか?」 「必要ないわけないじゃないですか。私はリィドさんが必要なんです」
そう言うとリィドさんは一瞬嬉しそうな表情をしたのを私は見逃さなかった。この気持ちに嘘偽りはないが、はっきり口にするとなるとやはり気恥ずかしくなった。
「そういうところが0組から好かれるのだろうな」 「へっ」 「メイー!」 「!」
リィドさんのその言葉に、どういうことかと問い掛けようとするが、私を呼ぶ聞き覚えのある声に自然と振り返る。そこにはジャックが発着所の入り口で私に向かって手を振っていた。
「行ってやれ」 「え……はい。じゃあリィドさん、鍛錬に付き合ってほしいとき呼びますからね!」 「あぁ、わかった」
大きく頷いたリィドさんを見て、私は踵を返した。
「メイの盾になれたら、本望だろうな…」
そう呟くリィドはメイの背中を、発着所から出ていくまでずっと見つめるのだった。
|