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 あれから1週間が経った。
 未だ処分の判決が下されないままでナギに頼んで借りてきてもらった本は全部読み終わってしまった。1週間も動いてない体はやっぱり鈍ってきていて処分がどうなるかはわからないが、部屋から出られたらすぐ闘技場で鍛え直さなければならなかった。

 この1週間、ナギとジャックが交互に来ていたこともありあまり暇ではなかったが、二人が揃ったときはかなりめんどくさかった。ベッドの上でぼーっと天井を見つめていると、部屋の扉が開く音がした。


「!」
「よっ」
「ナギ…」


 右手を上げて部屋の中に入ってきたのはナギで、今日は何しに来たのと問い掛ける。
 ナギは真剣な表情で右手を腰にあてて口を開いた。


「処分、決まったぜ」
「え…」


 やっと議会の話し合いが終わったらしい。
 今日は私の処分を伝えに来たのだとわかると自然と手に力が入る。ナギは口元を片方だけ上げて口を開いた。


「処分はドクター・アレシアが預かるってよ」
「……え」
「他の組に異動もなし。今まで通りミッションに参加しろとのことだ」
「………」


 本当は何も処分が下されなかったことに安心するべきなのかもしれないが、ドクター・アレシアの名前に素直に安心することができなかった。
 ドクター・アレシアと自分は何も関係がない。なのにどうしてドクター・アレシアは私を庇ったりしたのだろうか。
 ふと、ジャックとのやり取りが頭を過る。そんなまさかね…。


「でもしばらくは俺がお前を監視しなきゃならなくなったからな」
「げ…なんでよりによってナギなの」
「他の奴がお前の監視をするなんて俺が許さねぇし、いいじゃねぇか。気が楽だろ?」
「……まぁ、確かに」


 確かに他人だったら少しは警戒するけど、もしナギ以外の人に監視されたとしても私は普段通りに過ごすだけだ。まぁでもこれで晴れて明日からは普通に魔導院で過ごせる。
 まずはチョコボ牧場にでも行ってチョコボに会ってこよう、それで次はー…。


「…いつまでナギは私を監視してるの?」
「さぁ。ドクター・アレシアがもう監視しなくていいって言うまでじゃねぇかな」
「長そ…」
「そういうわけだから、明日からよろしくな」
「はーい…」


 つまり無期限。
 ナギはそれだけ言うと部屋から出ていった。あいつは私を監視する気あるのだろうか。明らかに監視する気はないような様子だった。

 しかし、私の監視期間がドクター・アレシアの気分次第だなんてやっぱりどこか腑に落ちない。今度会ったときにでも聞いてみるとしよう。