104.5




 ジャックは魔法陣で魔法局へと目指し移動する。
 魔法局に着くとアレシアが部屋の前で、ジャックを待ち構えていた。アレシアを見たジャックは頬を緩ませた。


「マザー!」
「よく帰ってきたわね」


 アレシアが優しく微笑むとジャックは照れ臭そうに笑った。
 アレシアは部屋の扉を開けジャックを部屋の中へ入れると、定期検診を始めた。

 しばらくしてジャックは目を覚ます。それに気付いたアレシアはジャックの頭を撫でて、異常なしよ、と口を開いた。


「ありがとう、マザー」
「もう行っていいわよ」
「うん……」


 定期検診が終わったのにも関わらず、ジャックは顔を俯かせてその場を動こうとしない。それを不思議に思ったアレシアはどうかしたの?とジャックに優しく問い掛けた。


「…あのさぁマザー」
「ん?」


 ジャックは口をモゴモゴとさせ、はっきり言うまでには時間がかかった。しかしアレシアは急かすことなくそれを見守る。
 しばらくしてジャックは意を決したのか顔を上げはっきりと口を開いた。


「マザーは…メイがどうなるか知ってる?」
「…どうして?」
「メイにシド暗殺容疑がかかってたって聞いて…僕らは何も処分がなかったけど、メイには処分のことで議会が話し合ってるって」


 不安そうな表情をしてアレシアを見つめるジャックに、アレシアは目を細めて安心させるかのように微笑んだ。


「あの子なら大丈夫よ。私がなんとかするわ」
「!本当?!よかったぁ…マザー、ありがとう!」


 アレシアの一言でジャックの不安そうな表情は飛んでいき、嬉しそうな表情で部屋から出ていった。