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次の日ジャックはメイがいるようなところ全部回ってみたが本人の姿は見当たらなかった。 通信も何故か繋がらなくてジャックは焦っていた。チョコボ牧場からエントランスに戻り、もう一度クリスタリウムへと足を運ぶ。 昨日居なくならないって言ったのに、と段々むしゃくしゃしてきた。
「お、ジャックじゃん」 「!ナギかぁ…」 「なんだよ、俺じゃダメなわけ?」
クリスタリウムに入るとナギに声をかけられた。 今ナギと喋ってる暇はない、と思ったけどナギならメイの居場所がわかるかもしれない。そう思ったジャックはナギのほうへ向き直る。 ナギは結構な本の量を両腕で抱えていて、ジャックは目を丸くさせた。
「…ナギでも本読むんだねぇ」 「お前馬鹿にすんなよ、読むに決まってんだろ!…っつってもこれはメイ用の本なんだけどな」 「!メイは今どこにいるの!?」 「うわっ!」
ナギの口からメイの名前が出ると、ジャックは身を乗り出すようにナギへと詰め寄った。いきなり詰め寄られたことにナギはバランスを崩しそうになるが、それを耐えて両足を踏ん張る。
「お、落ち着けって…!」 「落ち着いていられないよ!メイ、COMMにも出ないし魔導院回ってもいないし、またどっか行ったんじゃないかって」 「メイはいるから!とりあえずここから出るぞ、あいつがうるせぇから」
ナギの視線にジャックもつられてそっちを見る。そこには目をつり上げて今にも襲いかかって来そうなクオンが二人を睨み付けていた。 そんな様子を見たジャックは大人しくナギに従うことにした。
クリスタリウムから出るとナギは溜め息をつく。ジャックはまだかまだかと待ち構えていた。
「あーっと…ま、とりあえずメイは今部屋にいるぜ」 「部屋に?まさか体調悪いとか…!?」 「あー!おま、ちょ、待てって!」
ジャックはナギの言葉に青ざめて直ぐ様メイの部屋へ行こうと走り出す。それをナギが慌てて止める。 本が数冊落ちる音にジャックは振り返った。
「お前ほんと落ち着きねぇな…」 「…早くメイに会いたいんだもん」 「まぁわからなくもねぇけど…あ、ちょっとその本取ってくんね?」
落ちた本に視線を投げるナギに、ジャックは肩を落としてそれを拾う。それをナギに渡そうとすると、ニヤけ顔で口を開いた。
「わりぃ、俺もう持てねぇから持っててくんね?」 「……僕、メイに早く会いたいって言ってるじゃん」 「まーまー、そう固いこと言わずにさ。どうせメイの部屋に行くんだし」 「………」
ジャックはナギが持っていた本へと視線を移す。本はやたら分厚くて読むのに何日かかるかわからないくらいだ。 不服そうなジャックにナギは内心笑っていた。
メイの部屋へと続く廊下を歩きながらジャックにひとつひとつ説明する。
朱雀へ帰ってくる前に、白虎でメイの姿を見た諜報員が院長、局長に報告。ナギが連れ去られたことは前にも言ったが、通信も寄越さず無断で白虎に滞在していたことに議会は不審に思っていた。 女王暗殺のとき、0組が疑いをかけられたがメイにも暗殺容疑として疑いをかけられた。 それは0組とは別で、メイにはシド暗殺容疑を掛けられた。メイが白虎に滞在していたこと、シドの側にいたことによって誰かがシド暗殺容疑としてでっち上げた。 そこで議会は帰ってきたメイに対し、それらを含めた上でどう処分するかを今決めているところだ。メイにはその処分が決まるまでは部屋で待機を命じられている。 COMMも取り上げられ、メイに連絡がとれないのはそのせいだ、とナギは言った。
ジャックはそれを聞いて目を大きく見開いた。
「そんな、なんでメイがシド暗殺容疑にかけられなきゃいけないのさ…!」 「俺が思うに、あいつらにとってそう考えたほうが朱雀を追い込めると考えてるんじゃねぇかな」 「僕らだって女王暗殺なんてしてないのに…」 「そうだな…0組がすぐに帰投を命じられなかったこと、メイが白虎に捕らえられたことにこんな意味があった、なんて俺も思いもしなかったぜ。ま、何にせよ0組もメイも暗殺なんてしてないし無事に帰ってこれたんだ。…こうなっちまったのももうしょうがねぇよ」 「………」
ジャックは黙ってナギの後ろを着いていくことしかできなかった。
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