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廃屋から出ると0組の子たちが一斉にこちらを振り返った。
「もう大丈夫なんですか?」
デュースさんが駆け寄り心配そうな表情で私に声をかけてくれた。心配かけてしまって申し訳ない気持ちと同時に、逃走中に倒れてしまったことにも申し訳なく思った。 私は頭を下げて謝る。
「うん、ごめんなさい、足手まといになっちゃって…」 「謝ることないですよ」 「仲間なんだから助け合うのは当然さ」
トレイとエースの言葉に私は顔を上げる。 皆優しい表情をしていて、心の中がホッコリと暖かくなった。なんだか照れ臭くなりありがとうと呟くと、ケイトが茶化すように照れてるー!と声を上げた。
「メイっちも照れるんだねぇ〜」 「失礼ですよ、シンク」 「や、照れちゃ悪いですか…」
人から弄られることに慣れていない私は話題を変えようと頭を捻る。すると0組の面々の中にマキナがいないことに気付き、マキナはどうしたの?とデュースさんに言うと困った表情をしてそれが、と口を開いた。 ここに来るまでの経緯はジャックからだいたい聞いたけど、マキナがここに居ないのはどうしてだろう。
それからデュースさんや他の子からマキナとのやり取りを一通り聞かせてもらった。そっか、と呟くとシンクが目を伏せて顎に人差し指を当てて口を開いた。
「マキナん、すごい興奮してたよ〜…」 「まぁ、マキナの気持ちもわからなくはないんだがな…」 「クイーンが結構キツいこと言ってたよねー」 「なっ…!ですからアレは!」 「まぁまぁ…クイーンさんも、もう仕方ないよ」
そう言うとクイーンさんは顔を俯かせた。クイーンさんはどうやら自分が言った発言を気にしているようだった。 マキナの気持ちもクイーンさんの気持ちもどっちもわかる。クリスタルがあるお陰で死者の記憶を忘れられるというのに、マキナは忘れるということを恐れているような気がした。 とりあえず夜が明けるまでは行動せず、見張りを交代制にして休息をとることにしたらしい。
、話が終わるとジャックに手を引っ張られ、焚き火の近くにある丸太に座らされる。
「もう、急に引っ張らないで」 「ごめんごめーん」
軽く謝ってくるジャックに全く、と溜め息をついた。メイさん、と後ろからレムさんの声がしたので振り返る。
「もう大丈夫?」 「うん、レムさんも身体のほうは…」 「私なら大丈夫…こほっこほっ……」
両手を口元に当てて咳をするレムさんに、私は立ち上がってレムさんの側に寄る。ジャックとシンクは首を傾げてレムさんの顔を覗き込んだ。
「?レムっちってたまにこほこほって、咳してるけど大丈夫なのぉ?」 「えっ?うん、大丈夫だよ。軽い喘息なの」
苦笑混じりに言うレムさんにシンクは心配そうに口を開いた。
「喘息??それってミッションやってて大丈夫なの?」 「ドクターにもみてもらって、許可もでてるよ。ね、メイさん」 「え!?あ、うん!」 「なんでメイは知ってるの?」 「あ、ドクター・アレシアのところ行ったときにたまたまレムさんにあったんだよね」
いきなり私に振ってきたレムさんにどぎまぎしながらも答える。シンクとジャックはそれほど気にしてないのか、そうなんだーと流してくれた。
「マザーにみてもらってるなら大丈夫だねぇ〜」 「ふふ、そうだね。シンクは元気?」
上手く話題を反らすレムさんに私はホッと胸をなでおろす。
「わたしはいつでも元気だよ〜。それに今はいつもより軽いくらいだよ〜、ねぇ〜」
シンクはジャックに同意を求めた。なんだかこの二人、どっちもふわふわしてて似てるよなぁ、とふと思った。
「ん?確かにねー。今なら皇国軍が来ても余裕かもねぇー。ね、メイ」 「えっ!?そ、そうだね…」
だからどうして私に振るんだ。突然振ってくるなんていくら私でもうろたえるよ、本当やめて欲しい心臓に悪いから。
「強いなぁ、みんな。私ももっと鍛えなくちゃ、だね」 「まま、そういうのはー、朱雀に戻ってからゆっくり、ノンビリとね。僕も朱雀帰ったらメイとノンビリしなきゃー」 「本当仲が良いね」 「ジャックンは本当、メイっちが好きなんだからぁ〜」 「いやいや私朱雀帰ってもノンビリするつもりないよ」 「照れなくてもいいって!」 「………」
話を聞かないジャックに私はガックリと肩を落とした。
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