7.5




──水の月(2月)21日


 0組はマクタイ奪還作戦に参加、候補生はマクタイへ向かった。わざわざ皇国軍が出迎えてくれ、それを一蹴する0組候補生たち。マクタイ奪還作戦は呆気なく成功した。
 0組はマクタイの町を見渡す。朱雀民だろう人が何人も死んでいた。建物も殆どが壊滅。町は酷い有り様だった。

 モーグリからの通信が入り、0組がマクタイから魔導院に帰る道中。一番後ろを歩いていたキングが突然振り返る。振り返った先には誰もいない。気のせいか、と首を傾げるキングに気付いたエイトが話しかけた。


「?キング、どうかしたのか?」
「………いや、」


 振り返った先には誰もいなかったが、妙に居心地が悪い。誰かに見られているような、そんな錯覚をキングは感じとっていた。


「キングも何かに気付いたか」
「セブン…」


 セブンは前々から何かに気付いていた。それは自分達を殺そうとする殺気などではなく、自分達を監視しているような、そんな感覚だ。敵か味方かともかく、危害を加えるつもりがないと断定したため、セブンは誰にも言わないでいた。それをキングが気付いたので話しかけたのだ。


「俺達は誰かに見られているのか?」
「かもしれないな。それが人か機械かはわからないが…」


 キングとセブンが深刻そうな顔で話していると、ジャックが笑いかけてきた。


「なぁに2人して深刻そうな顔してんのさぁ。無事に任務も成功したんだし、もっと喜びなよぉ」
「…ジャックも気付いているだろう?」
「えぇー?あー大丈夫だよぉ。僕達に危害加えるような真似しない人だしねぇ」
「…?知り合いなのか?」
「いやいやー、そんな感じがするだけだよー」


 ジャックのその口振りにセブンとキングは疑問を抱くが、ジャックは笑顔を絶やさず大丈夫だってーと言っていたので、それを信じることにした。それにしたってジャックはどうしてそんなに機嫌が良いのだろうか。


「ねぇジャックんさ〜、機嫌良いねぇ〜?なんかあったの〜?」
「えへへー、内緒ぉ」
「本当、気持ち悪いくらい機嫌良いな…」
「ちょっとちょっとぉ、気持ち悪いとは失礼だなぁ!」


 皆から酷い言われ方をされていても、ジャックは終始機嫌が良かったとか。
 こうして0組はマクタイ奪還作戦に成功し、無事に任務を終えたのであった。