90.5





 ヴァジュラの猛攻撃の途中、メイが突然膝をついてしまった。それに気付いたジャックがメイに駆け寄り、メイの身体を持ち上げヴァジュラの攻撃を避けていく。
 暫くしてヴァジュラは諦めたのかその場から去っていった。ジャックはホッと安堵の息を吐き、大丈夫?とメイの顔を覗き込む。
 しかしメイの目は閉じていて返事はなかった。


「メイ?メイ!」
「…どうやら気絶しているようですね」
「メイにミサイルが当たったのか?」
「いや、外傷は特に見当たらないから攻撃は当たっていないんじゃないか?」
「メイさん、どうしたんでしょう…」


 ジャックに抱き抱えられているメイの顔を覗き込む0組。外傷は特に見当たらなかったのに、いきなりどうしたのだというのだろう、と0組は首を傾げる。
 メイは起きる気配がなかったので、ジャックがメイをおぶって逃げることにした。サイスはそれに少しだけ不服そうにしていたが、ジャックがメイを離すわけがなかった。

 ビルの中に入り少しだけ休息をとることにした。休息といってもほんの少しの時間だけだ。
 ジャックはメイをソファにおろし、再び顔を覗き込む。メイは苦しそうに顔を歪ませていた。


「メイ、苦しそう…」


 ポツリと言うジャックに0組は視線をメイに向ける。少しうなされているようだった。


「早くきちんと休める場所に連れていったほうがいいですね…」


 クイーンがメイを見て呟くと、ジャックが急に立ち上がり振り向いた。


「とりあえず進もう!メイは僕がおんぶしていくから」
「1人で大丈夫なのか?」
「大丈夫大丈夫!メイは僕が死んでも守るから!」
「ジャックってあんなかっこいいこと言う奴だったっけ?」
「ふふ、頼もしいですね」
「オイジャック!てめぇ、何が何でもメイ離すなよ!」


 再びメイをおぶるジャックに0組は顔を見合わせて頷き、ここから皆で脱出するために走り出した。