貪欲な僕をその手で愛して


◎裏表現注意


「お前さあ」

「ん?何?」


答えながら私はシャツのボタンを外し、腕を抜く。生温かい外気に晒された肌は汗ばんでいた。先程までエースと訓練という名の鬼ごっこをしていたのだ。二十歳にもなって何やってんだろう。楽しかったからいいのだけど。


「もっと恥じらいってもんを持てよ」

「…………………は?」

「は?じゃねェ!」

「う、うん‥?」


そう言いつつ私はベルトを外す。ズボンの中が蒸れて気持ち悪い。


「おい!」

「え、ちょ、何?」

「服着ろって!」

「なんで?」

「いいから!」


ベルトを引き抜こうとした私の手を掴んで、顔を真っ赤にして言うもんだから、仕方なくもう一度ベルトを締めなおした。

するとエースは近くにあった洗濯したてのTシャツを手渡してきた。


「これ着ろよ」

「へいへい」


大人しく受け取り腕を通す。シャワー浴びようと思ってたのに。ズボンの中だって気持ち悪いままだ。


「ていうかさ」

「あ?」

「エースが出ていくか、後ろ向けばよかったんじゃん?」

「………あ」

「ぷはっ!」

「わ、笑うなよ!」

「はははっ、」

「ナマエ!」

「ははっ、‥なんかさ、ふしぎだね」

「な、何がだよ」

「エースもそんなこと考えんだね」

「っ!つ、つーか目の前に下着姿の女が居てムラムラしねェ訳がねェだろ!」

「何?ムラムラしてんの?」

「ち、違ェよ!」

「ふーん‥ムラムラしてんの?」

「違うって!」

「ヤる?」

「っ‥!」

「ははっ、耳まで真っ赤」

「からかうんじゃねェよ!」

「からかってないよ」


そっとエースの手を掴んだ。温かい体温が掌の皮膚を伝って伝わってくる。

その手を私の胸元に当てる。速くなる鼓動が掌を伝って伝わればいい。


「からかってない」


エースに触れて欲しい。

ずっと、ずっと、エースを好きになったあの日から、エースに触れて欲しかった。エースに触れたかった。


「知らねェぞ」

「何が?」

そう言うと同時に私の視界は反転して、一瞬ふわりと浮いて、柔らかい感触。

天井と私の間には、真っ赤なエースの顔。

真っ赤なのに、真面目な顔。

胸の奥が滾る感覚。


「何するの?」

「知らねェ」

「ふーん」


知らないくせに、重ねられた両手は汗ばんでいく。掌を伝って脈拍が速くなるのを感じる。


「目、閉じろよ」

「なんで?」

「なんでも」

「エースの顔、見てたい」


そう言えばまた頬を赤くする。

目を閉じてしまったら、こんなエースが見れなくなる。

もっと見せて。

もっと、もっと、魅せて。


「エース」

「、んだよ」

「キスしたい」

「あ、あァ」

「早く」


躊躇いがちに近づく顔は赤くて、薄っすら開く唇は妖艶で、繋がれた手は気持ち悪いくらいに汗ばんで、閉じられた瞼は絶世に綺麗で、


「好き」


目の前に居る君は世界一愛しくて。


「愛してる、だろ」

「うん、そう、愛してる」


離れた唇が恋しくて今度は自分から重ねる。

触れるだけ。優しく。


「ね、エース」

「‥何?」

「エッチしたい」

「っ‥!!」


キスだけじゃ物足りない。もっと、熱くなりたいの。もっと、君を感じたいの。


「しよ?」

「‥バカ野郎」

「ふふ、スケベエース」

「男はみんなスケベだろ」


手を頬に添えて、唇をなぞって、重ねて、重ねて、重ねて、


「エロナマエ」

「違うよエロじゃない」

「エロだろ」

「違う」

「じゃあ」


二ヤリ、歪んだ口角に、クラリ、目眩がした。

熱い、熱い、熱い。


「エロじゃねェこと証明してみろよ」

「やだ、っ」

「ほら、体は正直だぜ」

「っ‥」


ずっと触れたかったものが今、私に触れる。


ねぇ早く、

君に溺れたいよ。







貪欲な僕をその手で愛して







「こことか、どうだ?」
「ちょっ、馬鹿!」
「お、いいってことか」
「やっ!」
「はは、可愛い」
「な、何言ってっ‥あっ!」
「悪ィ悪ィ、手が勝手に」
「(絶対わざとだコノヤロー!)」










To JING様 From もこ

◎お誕生日おめでとうございます!遅くなってごめんね(;ω;)2ヶ月越し(笑)性欲の強いJINGちゃんにぴったりなお話にしました(^p^)w
JINGちゃん大好きだよ。生まれてきて、もこと出会ってくれてありがとう。







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