◎学パロ、銀魂混合
人生で3回モテ期がある。
中学生の頃、誰かがそんなことを言っていた。
だけどあたしはそれを信じてはいなかった。それはあたしがモテ期なるものを経験したことがなかったからとか決してそういう理由ではなくて(え?あったのかって?な、なかったわよ!悪い!?ないといけないの!?)。
いや、ホントにそういう訳ではなくて。あたしの周りにいる奴等は3回どころじゃないモテ期を迎えているからあたしはそう思う訳である。むしろ奴等は万年モテ期ではなかろうか。
「エースくん、あの」
「沖田先輩、あたし」
どうしてあたしはこんなにもバッドタイミングに体育館裏で昼寝をしていたのだろう。
「「好きなんです!」」
綺麗に両サイドから聞こえた告白の言葉。アイツ等今年っていうか今月何回目だよまったく。
半分呆れつつ、半分羨ましがりつつ(って羨ましいしくはない。断じて!羨ましくなどない)、盗み聞きなんて趣味が悪いとは思うが、なんて答えるのか友達としては気になる訳で。ちょっとくらいいいよなー、と聞き耳を立てていると先にエースの返事が聞こえた。
「気持ちはすげェ嬉しいんだけど、悪ィな。今は彼女とか要らねェんだ」
なんとも紳士的で好感の持てる、丁重なお断りの言葉だった。これなら相手の女の子の傷も小さく済むだろう。うん、89点。
さてさて、それでは沖田の方はなんと答えるんだろう。
「てめェみてェな雌豚タイプじゃねェ。さっさと消えろ」
‥最低としか言いよう+がなかった。
ここからでも女の子の泣き声聞こえてくるし、っていうか泣いてる女の子にさらに「ブサイクな泣き顔晒してんじゃねェやい」って追い討ちかけてどういうつもりよ。あーもうホント最低信じらんない。マイナス320点ね。
うんうん、と審査員気取りで居ると、カサッと葉を踏む音がした。二人がこちらに向かって歩いて来ているのだ。慌ててあたしは茂みに隠れた。盗み聞きしてたなんて知れたらなんて言われることか(特に沖田なんてさっきの女の子の二の舞よ。あたしでも泣くわよあんなこと言われたら)。
茂みから二人が去るのを待とう、と思ったのだが。二人してこっちに向かってくるってどういうことよ。
「お、なんだ総悟じゃねェか」
「こりゃ奇遇だねィ。何してたんでィ」
こういうことですよね。
二人はあたしが隠れる茂みのちょうど真ん前で鉢合わせてしまった。そこで絶賛男子高生な会話が今まさに繰り広げられようとしている(出るタイミングが‥!)。
「いや、ちょっと呼び出されてよ」
「告白ですかィ?」
「まァな」
「へェ、なんて答えたんでさァ」
「今は彼女要らねェって」
「そりゃ勿体無ェ」
「あ?なんでだよ?」
「あんたみてェな半裸野郎に彼女が出来る機会、今後もうねェだろうになァって」
「バカ言えよ。俺のモテっぷり知らねェのか?」
「自分で言うとこが怪しいんでさァ」
「なっ‥そう言う総悟はどうなんだよ。告白されてたんじゃねェのか?」
「されやしたけど?」
「なんて答えたんだよ」
「お前みたいな雌豚タイプじゃねェって」
「お前最低だな」
「そうですかィ?キッパリ言っちまった方が向こうも後腐れなくていいじゃねェですかィ」
「いや、多分相当な深手負ってると思うぜ」
「そうですかィ。ま、ホントにタイプじゃなかったんで」
「お前のタイプって?」
「そうだねィ‥さっきみてェな簡単に調教出来そうな女は嫌でさァ。もうちょっと反抗心の強い、調教し甲斐のある奴がいいでさァ」
「お前‥結構やべェ奴だとは思ってたけど、相当だな」
「そう言うアンタはどうなんでィ。彼女は要らねェとか言ってホントは」
「だあああああああああっ!!!てめェそれ以上言うなよ!!そこに、」
「‥そこに?」
「‥なんでもねェ」
「‥実は、俺もでさァ」
「‥何が」
「俺もアンタと同じ奴が好きなんでィ」
「‥マジかよ。ていうかなんで俺の好きな奴」
「アンタほど分かりやすい奴ァ居ねェやい」
「……」
「ま、アイツは俺が調教するんで諦めてくだせェ」
「バカ言えよ。アイツは俺が貰うんだ」
「そうはいきやせんぜ」
「あん?」
「まァ決めるのは本人なんでねィ」
「‥そうだな」
「ってことで」
「「絶対ェ落とすから覚悟しとけよ」」
「……」
「あれ?無反応?」
「緊張しすぎて何も言えねェんじゃねェですかィ?」
「……」
「……」
「……ぐがぁ〜‥」
「「寝てんのかよ!!」」
鈍感ガールの3分の1
(今まさにモテ期到来!)
「なァ」
「なんでィ」
「襲っちまっていいかな?」
「‥そういう趣味ですかィ?俺はやっぱり抵抗されるのが好きなんで」
「お前の趣味も大概おかしいよ」
「‥ん、あれ?エースに沖田‥どうしたの?」
「コイツが今」
「だああああああっ!!なんでもねェよ!ほら!行くぞ総悟!」
「あーれー」
「んん?変なのー」
To K様 From もこ
◎お誕生日おめでとうございます!大好きです。