「エースっ!あんたあたしのオヤツ食べたでしょ!?」
「なっ、食ってねェよ!」
「じゃあ何?口の周りのクリームは!」
「げっ」
「やっぱ食べたんじゃん!返せ!あたしのシュークリーム!」
「ばーか。胃に入れちまえばこっちのもんだ」
「わかってるわよ。あんたの胃に入ったもんなんて食べたくない」
「んじゃ、諦めるんだな」
「誰が諦めるか。あんたの分のオヤツ、あたしに寄越しなさいよ」
「俺のオヤツは俺のもんだ」
「なんだって?人が折角あんたのオヤツ1つで許すって言ってんのに」
「、んだよ」
「そんなに嫌ってんならシュークリーム10個で手を打とうじゃない」
「増えてんじゃねェか!」
「うるっさいわねぇ。あんたが悪いんでしょ」
「悪かねェ」
「あんたねぇ‥」
「あん?」
「だいたい人様のオヤツに手ェ出しちゃイケないって習わなかったの?」
「んなもん習ってねェよ。俺たちゃオヤツだってなんだって奪い合いだったんでね」
「はァ‥これだから野蛮人は」
「おめェだって人のこと言えねェだろ」
「いーや、言えるね」
「なんでだよ。おめェだってこの船の戦闘員だろ」
「でもあたしは人様のオヤツに手は出さない。常識があるんでね」
「俺だって常識くらいあるね」
「あるならあたしのオヤツ返しなさいよ」
「数時間もすりゃ出てくるだろ」
「うわ、最低。信じらんない。レディに向かって下品極まりないね」
「あ?誰がレディだ?」
「あんた頭も悪いけど目まで悪くなったの?目の前に居んじゃん、白ひげ海賊団一の美女が」
「どこだ?俺の目の前にゃオヤツに飢えたブタしかいねェぞ」
「エース、そんなに海に落とされたいの?」
「ナマエなんかにゃ落とされねェよ」
「んだとてめェ!」
「んだよ!つーかお前もオヤツごときでうるせェんだよ!そんなんだから男にモテねェんだ」
「なっ‥そう言うあんただってそんなんだから女の一人や二人居ないんだよ!」
「何言ってんだ!女の一人や二人俺にだって居るね」
「え‥居るの?」
「お、おう」
「そ、そう‥」
「‥」
「‥」
「ダァーーっ!!!嘘だよ!女なんていねェ!」
「なっ!?や、やっぱり嘘なんじゃん!見栄張ってんじゃないわよ!」
「うるせェよ!だいたいなぁ!」
「な、なによ」
「お前鈍いんだよ!」
「は?なにが」
「おらァな!惚れた女が居んだよ!鈍くてアホで強情で、おまけにオヤツごときでギャーギャー騒いで、そのくせ寂しがり屋で酒飲むと甘えてきて強ェくせに女らしくて可愛い、んな奴が俺は好きなんだ!」
「な、な、な」
「なんだよこの鈍感女!」
「あ、あたしだってね!バカ正直で大食いで、太陽みたいにあったかくて強くて男らしい、ご飯中に寝るような男に惚れてんの!文句ある!?」
「‥ねェよ」
「‥っ」
「‥」
「ニヤニヤすんなー!」
「ニヤニヤせずにはいられねェだろ」
「ちょ、寄るな!」
「うるせェ。つまりなんだ?俺たちゃ両想『わあーっ!!』バカっ!耳元で叫ぶな!」
「エースが悪いんじゃん!」
「なんでだよ」
「りょ、両想、いとか、言うから‥」
「照れてんのか?」
「ば、バカ言わないでよ!」
「ふーん」
「っ‥もうエースなんて知らない!オヤツは勝手に貰うからね」
「まだ言ってんのか?」
「うるさい!」
「ふは、お前可愛いな」
「はぁ!?」
「だってよォ、顔真っ赤じゃねェか」
「違っ」
「なにが違うんだ?」
「っ‥」
「言えよ」
「な、なにを」
「わかってんだろ」
「わ、わかんない」
「早くしろよ」
「だからわかんないって!」
「ったく、しゃーねェな」
「っ!?」
「お前が好きだ」
「‥っ」
「お前は?」
「‥き‥」
「ん?」
「好きだって言ってんでしょ!バカヤローっ!!」
「ぐわっ!?」
愛情表現は愛ある拳で
(照れ隠しにも程がある)
「あいつらここが甲板のど真ん中ってことわかってんのかよい」
「多分わかってねェだろ」
「グララララ、やっとくっついたかバカ息子共」
「ついて来ないでよ!」
「んな怒んなよ。シュークリームやっから」
「ホント?」
「あぁ、惚れた弱味だ」
「ば、バカ!」