焼き付いたのは黄金


 
表に出るとそりゃもう凄まじい光景だった。

ヒュー、と思わず口笛を吹いた。


「准将殿!金髪の女が一人‥手配書には居ないのですが!」

「なに!奴らの仲間ではないのか!?」

「わかりません!」


海軍だけじゃなく、麦わら、ユースタス・キッド、トラファルガーもあたしを振り返る。


「あの女‥」


トラファルガーの呟きにニコリと微笑んだ。

スタスタとトラファルガーとユースタス・キッドの間を通る。


「動くな!」


海兵があたしに向かって武器を構えた瞬間、一気に動いた。


「なっ」


一人の海兵の前に行き、妖艶に笑む。

海兵が頬を染めた隙に右足でその横腹を捉えた。


「ぐあっ‥」


一気に海兵がブッ飛び、何人かもブッ飛んだ海兵に当たり巻き添えで雪崩のように崩れる。


「なっ!?」

「能力者か!?」


ざわめく海兵にニヤリと不適な笑みを向けた。





‐ ‐ ‐ ‐ ‐





「准将殿!全員出て来た模様です!」

「逃げる気だ!ナメられるな小僧共に!援軍もまだ来る!」


騒ぎ始めた海兵共を尻目に、俺は真っ直ぐその女を視界に捉えていた。


「何者だ、てめェ」

「気の早ェ男は嫌いだね、ユースタス・キッド」


こちらに背を向けたまま女は足を地につけ、耳に髪をかけながら顔だけユースタス屋に向ける。


「そういう男に限って果てんのも早い」

「なっ!?」


くく、と喉を鳴らして笑う。

爆風とは別の、風が吹いた。

サラサラ、金髪が揺れる。


「あれは、」


海兵の一人が漏らした声。

それよりも俺の目はその背中から覗いた、刺青に釘付けになった。


「黄金(きん)の魔女です!准将殿!!」

「あんな小娘が、黄金の魔女だと‥!」


ドクロに巻き付く薔薇。

俺も見覚えがあった。名も知れぬ賞金首、“黄金の魔女”。懸賞金1億3000万ベリー。

手配書の写真は後ろ姿のみで、手がかりは金髪と背中の刺青だけという異例の賞金首だ。

その謎の女が今目の前にいる。


「楽しい宴をありがとう、モンキー・D・ルフィ」

「誰だァ?お前」


女は笑いを口元に湛えたまま、麦わら屋へと目を向ける。


「今は教えらんねェな」

「ふーん。じゃあしょうがねェな」

「ふふ‥やっぱりあんたおもしれェよ」


女は手を空にかざした。

バサッと何かが羽ばたく音がした。


「また会ったら教えてやるよ。モンキー・D・ルフィ」


それと、と彼女は続けて視線をこちらへ向ける。


「あんたたちもね」


大きな黒い鳥が、女の傍まで降りてきた。

バサバサと黒い羽が舞う。


「ま、待て!その女を逃がすな!」


海兵が飛びかかる前に彼女はもう地上に居なかった。

キラキラと金髪をなびかせながら、黒い鳥と共に空へ。







焼き付いたのは黄金
(チカチカとよみがえる)









第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -