ここはシャボンディ諸島、20番GR。
「へっへっへっ。嬢ちゃん可愛いねェ。俺たちと遊ばねェか?」
厭らしい笑みを浮かべた数人の男が行く手を阻む。これで何組目だろうか?もう5組は伸した気がする。
「あたしに手ェ出すと火傷じゃ済まねェよ?」
あたしは髪を掻き揚げながら男を見て目を細める。
「ほォ、どうなるんだ?教えてくれよ」
その体で、と男の腕が肩に回される。
ニヤとあたしの口角が上がる、と同時に男の体が揺らいだ。
「っ‥」
「ちょ、おいっ!どうしたんだよ!」
「てめェらなんかにゃ興味ねェんだよ」
「なっ」
あたしが触れた瞬間、バタバタと男たちが倒れていく。それはまるで、脱け殻のように痩せ細った姿で。
「今日は収穫多いなァ。つっても雑魚ばっかだけど」
あたしは倒れた男たちから財布や金品を抜き取ると腰に下げた小さな鞄にそれを詰めた。
それからまた歩き始める。
近くで騒ぎが聞こえる。
「(21番GR?ルーキーかな?ふふ、ワクワクするなァ)」
自然と足がそちらに向かう。ルーキー同士の戦闘なら見物したいものである。
少し歩いて21番GRに着くと、ちょうど戦闘が誰かの手によって止められたところだった。
広場のど真ん中で、バカデカイ男とマスクの男の間に割って入る、マントの男。
赤旗、X・ドレーク。
止められた方の男は、怪僧ウルージと殺戮武人キラー。
それから、死の外科医、トラファルガー・ロー。
「(すごい面子だな、こりゃ)」
自然と口角があがる。体が芯から疼くような感覚。あたしの悪い癖である。
あたしは近くの建物に寄りかかり、その場の成り行きを眺めていた。
ドレークとトラファルガーが何かを話している。遠すぎて内容はわからないがトラファルガーが愉しげであることはわかった。
ふとトラファルガーと視線が重なった。
にこっとお決まりの笑顔を浮かべればトラファルガーは僅かに眉根を動かした。
それからトラファルガーの視線の先に気付いたドレークとも目が合う。
「(決ーめた)」
あたしは歩き始めた。
気まぐれティータイム
(彼女が好むは強い者)