太陽の虜(ルフィ)



『ルフィっ!!』

「うおっ!?」


後ろからの不意の衝撃にグラッとルフィの体が揺らいだ。目の前は海、海、海っ!


「わわわっ!」


ルフィは慌てて今まで自分が座っていた船の手摺にしがみついた。体制を立て直し、ふぅと安堵の息を漏らすと後ろから飛び付いてきた張本人、あたしに目を向ける。


「おいコラッ!落ちたらどうしてくれんだッ!」


ピンっと額にデコピンを喰らわされる。


『あだっ!』


あまりの痛さ(これホントにデコピン!?超痛いんですけど!)にあたしは涙ぐみながら額を押さえ、ルフィを見上げる。

怒ってるのかな?と覗き込んだ表情は、意外にも笑っていてびっくりした。


「にししっ!嘘だ!」


歯を見せて、あたしの大好きな笑顔で言う。


「落ちたらお前が助けてくれるもんなっ!」

『えっ!?』

「なんだ?助けてくれねェのか?」


コロコロと表情の変わる人だ。次は拗ねたように頬に空気をため膨れている。


『た、助けるっ!』

「ししっ!ありがとうな」


ニカッと太陽みたいに笑う。眩しく眩しく、輝いて。


「じゃあ俺も」


子供の内緒話みたいに唇を耳に寄せ、囁くように小さな声で


「お前のこと一生守ってやる」


そうやってまた、君はあたしを虜にするんだ。





太陽の虜(ルフィ)

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