次の日の朝7時に目が覚めると、イオンはまだ眠っていたので起こさないようにこっそりと部屋を出た。

昨日は私がお風呂から上がった後、すでにイオンはスヤスヤと眠ってしまっていた。
しかし、消して出ていったはずの電気が付いているところをみると、起きていようと努力をしていたのだろう。
いきなり違う世界に来てしまって疲れていただろうに。

イオンって本当に、、、いい人だなぁ!!

音を出来るだけ立てないように1階の洗面所まで降り、寝癖の付いた髪をワックスで戻して私服に着替え、ついでに今日は何を着せようかとイオンの服も用意した。
昨日は花柄だったから今日は蝶にしようかな!
ワンピースと着せたら怒るだろうか。
でも、もともと着てた服もワンピースみたいなものだしあんまり違和感ないかも!
なーんて。
結局無難に昨日のような服装を選んでから母親と話すためにリビングに行くと、すでに父は会社に出ていて居なかった。
母も食事を済ませて仕事の準備をしており、テーブルは2人分の朝食が作り置かれている。

どうやって学校休む言い訳をしようかなぁと立ち尽くしていたのだが、
「あんないい子を置いて学校にいくなんて。泊めてあげてるなら責任を持ちなさい。今日どうせ昼まででしょ?」
と、母親の方から休め指示がでた。
イオン…いつの間にそんなに母に好かれたのか。

まぁ、嘘をつく必要がなくなったので良しとしよう!

「じゃあ母さんも仕事に行くけど、冷蔵庫にサイドウィッチ置いてるからイオンちゃんと食べなさい」

「ん、ありがとう母さん。」

玄関で母を見送ってから部屋に戻ると、目を覚ましていたイオンが布団をたたんでいるところだった。
しかしたたみ方がわからないのか、四苦八苦している。そんな姿もまた…可愛いなぁなんて思ってしまう。

「おはようイオン、よく眠れた?」

「あ、おはようございますヒトミ。すみません、昨日はいつの間にか寝てしまったようで。」

「全然いいんだよ!疲れてたんでしょう?はい、これに着替えて下りてきて。母さんが朝ごはん作ってくれてるから。」

先ほど用意した服を部屋に置いて、先にリビングへと下りた。
トーストを2枚焼いて、コーヒーを2杯入れる。
イオンは砂糖いるかな〜?
と、普段は使わないコーヒー用のシュガーポットを探し当ててテーブルに置く。
母親の用意した朝食の横にトーストとコーヒーを設置したところで丁度よくイオンが下りてきた。

「うわぁ美味しそうですね。いただきます!」

そう言って食事を始めたのだが、あまりに行儀良く食事をするもんで、私はついつい聞いてしまった。

「イオンってもしかして良い所のお坊ちゃんだったりする?」

「え?どうしてですか?」

「いやー、食べっぷりがね。上品だなぁと思って」

「はぁ、どうでしょう。良いところといえば。。。いいところなのかも知れませんね。」

「えー、それってどういう回答なわけ?」

聞くと二コリと笑ったので、あぁ、あんまり触れて欲しくないんだろうな。と思って会話を変えることにした。

「そうだ、今日さ、昨日の山に行かない?」

「昨日の山?ですか。」

「うん。だって気付いたらあそこにいたんでしょう?なにか帰る手がかりがあるかもしれないよ?どうせ窓から5分程度だし。ついでにサンドウィッチでも持ってイオンの世界の話、聞かせてよ」

昨日は寝ちゃってできなかったしね!
そういうと、イオンはありがとうございます。と、嬉しそうに笑った。

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