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い、いきなり電波を受信したようなことを言われましても!!
でも、違う世界とか変なことを言うにしてはとても真剣な表情で、今までの会話や態度を見ると嘘をつくような子には正直見えない。
かと言ってそんなことを言われてもとても信じがたい。
だって異世界だよ?
どこの漫画の話なんだって感じだし。
「信じてもらえないのも無理はないのですが…」
しかし、伏し目がちににっこりと笑う様子がなんだか切なくて、思わず「し、信じるよ!!」と言ってしまっていた。
言ったものの頭の中は混乱し続けているわけで…
とりあえず落ち着こうと、持ってきていたジュースを一口含んだ。
ちらっと横目で見ると、すごい興味津々の瞳でこっちを見ている。
「の、飲む?」
「飲み物なのですか!!?」
ぺ、ペットボトルを知らない!!?
飲むように即して渡すと、「果物の味がします!」と衝撃を受けていた。
その様子が面白くて、そういえばポテチもあったな。と、手渡すと、一口食べてまた衝撃を受けていた。
「このような美味しいものは初めて食べました!」
私はたまらなくなってケタケタ笑い出す。
「か、かわいい!!」
心の中で思っていたつもりだったが、どうやら口に出して言ってしまったようで、その台詞に「僕は男ですが」と、なにやら憤慨したらしい。
おっと、この子は彼だったのか。
膨れた姿も可愛かったが、それは良心で黙っておいた。
「そういえば名前言ってなかったね。私は瞳。あなたの名前聞いてもいいかな?」
「ヒトミさん…ですね、僕はイオンです。イオンとおよび下さい。」
「じゃあ私も敬称は要らない。呼び捨てでいいよ!」
「ええ、ではヒトミ」
にっこりと笑いあってポテチをつまんだ。
そういえば、私、この場所で他の誰かと一緒に過ごすのは初めてだな。
いつも、気持ちが沈んでどうしようもなくて、一人になりたくて来る場所だったんだもん。
当然っちゃ当然だけど。
でも、不思議とイオンと居るのが嫌じゃないんだよね。
今日もすごく落ち込んで一人でいたい気分だったのにな。
「イオン、きみ、これからどうするの?」
「どうする…とは?」
「だって異世界から来たってことでしょ?こっちのお金なんてもってないんだろうし。あ、帰り方知ってるんだ?」
「いえ、どうしようか…とは思っていたのですが..」
「だったら、今日のところはうちに来ない?」
うん。
今日は金曜日で明日はどうせ午前中だけだからサボっちゃえばいいし!明後日は日曜だし。
…正直学校は行きたくなかったからね。
その後のことは分からないけど、とりあえずってとこでさ。
「さすがに野宿はないと思うんだよね〜。武器を持たなきゃいけないような変な動物は居ないけど。」
そういうと少し困った顔をしながら、お言葉に甘えてと言われた。
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