「で、聞きたいことってなんですか?」

聞き返しながらまじまじとレイヤーさんを観察した。
いや、コレがまたなんともいえないくらい美人さんで、緑の目はカラコン?月明かりではハッキリとは見えないが、とても澄んでいるように感じる。
髪の毛なんか、カツラ独特のぺったり感とかパサパサ感が全く感じられずサラッサラだし・・・地毛を染めたのかな。
白いタイツはいただけないが、足自体はかなりハイレベルな良い足だし。
って、どんどん変態のような思考に!!

「この場所がどのあたりだか教えていただきたくて。少し休んでいる間に知り合いと逸れてしまって。」

「あ、迷子なの?」

「お、お恥ずかしいながら…」

こんな小さな山で迷子も何もないだろうに…
どこなのかといわれても名もない山の頂上ですよ。としか言いようがない。
面倒くさいけど一緒に下りて交番にでも行って貰うのが一番かなぁ。

「あの、さ。とりあえず迷子なら交番に行くのが一番かと思うんだよ。地図見せてくれるし。山下りたらすぐそこにあるから、交番までなら付き合えるし一緒に行く?」

そういうと、レイヤーさんはキョトンとした表情をうかべて、交番?と何度かつぶやいた。なんか分けありで交番は駄目とかそんなことを言うわけじゃないよね?あ、ていうか友達と一緒なんだったっけ!

「そっかごめん、そういえば友達と一緒なんだったね。先に帰っちゃってもダメか。うーん。」

「あ、あの!」

考えるようにうつむいていたようだったが、何かを思い出したのか話しかけてきた。しかし、心なしか顔が青いような気がするんだけど…

「ここは…もしかしてダアト…いいえ、オールドラントでは…」

「オールドラント?」

聞いたこともないような国名だ。
もしかしてこの子、レイヤーさんではなくて外国人だったのか?

「オールドラントとかって国があったかは知らないけど、ここは日本だよ、ちなみにこの場所はうちの家の裏山」

そういうと、レイヤーさんの青そうだった顔がさらに青くなり、ゆらっと身体が動いたかと思うと私めがけて倒れてきて。。。

「っちょー!!!!」

びっくりして受け止めるが、か弱い女子高生が意識を手放した人間をキレイにキャッチなんてできるはずもなく。
二人してその場に倒れてしまった。
幸い特等席である石から離れた草むらの上だったので何とか痛い思いはすることがなかったが、、、
とにかく救急車!
そう思ってポケットに手をのばした。

「しまった!鞄の中に入れっぱなし!!」

そう。急いで出ていたので学校鞄の中に忘れてきたのだ。
レイヤーさんがのっかて、しかもこれが以外に重くて身動きが取れないし。

このまま腹の上で死なれたらどうしよう!

と、結構いっぱいいっぱいだったが、どのくらいだったか。
自分ではすごく長い時間に感じたがおそらくすぐ、意識を取り戻した。

「す、すみません!!」

急いで私の腹から退くと、顔を真っ赤にしてその場にへたり込んだ。
どうやらなんともないような仕草にほっとする。
いや、マジ、どうしようかと思ったけど!!
この子は持病もちかなにかか!!?

とりあえず立ち上がって、お尻の砂をはたく。
へたり込んでいるレイヤーさんも引っ張りあげて砂を払ってやった。
なんだか話たそうだったので、乗りかかった船だし。
仕方ない。
と思って私の特等席へと促した。
また倒れても困るので座っておいてもらおう。

「おかしい、とは最初から思っていたのです。先ほどまではあのような村あかりは見えなかった。」

村あかりと言う言葉に疑問を覚えた。私が住むここら辺は割と都会で、村と名のつく場所はあまりない。車でもあれば別だけど。
まぁ、確かに、私の座っている場所からは見えないが、この子が最初に居た場所からは街明かりがキレイに見えるのでその事だろうと予想は出来た。

「森を歩いていましたし、村明かりにしては光が明る過ぎる。それに、貴女の姿も・・・」

私の?
目線につられて自分の格好を見たが、よくある灰色のスウェットだ。珍しくもなんともない。

「そのような変わった服装の方は初めてみました。森を歩くような服装ではないですし、武器を所持せず森の中に入るような人はオールドラントには居ません」

武器?そんな物騒な!!
あ、でも熊が出るような森の奥だと確かに銃とかもってるよね。TVでしか見たことないけど。

「笑わないで聞いてください下さいますか?」

「はい?」

「僕はおそらく、貴女とは違う世界の人間だと思うんです。」

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