ミュウの案内を受けてライガの住処へと移動する。
チーグルの木より、さらに森の奥へと進んでいき、大きな祠の前へたどり着いた。

「この祠の一番奥にライガのボスがいるんだな?」

ルークの問いかけに、ライガクイーンですの!という可愛い返事が返される。
よし、行くぞ。
ルークの掛け声とともに祠に一歩踏み出したのだが…

キイイイイイン!

いきなり激しい頭痛が私を襲った。

「うっあ…」

あまりの痛さに立って居られなくなり膝をつくと、私の異変に気付いたイオンが駆け寄ってきた。
イオンの声で振り向いたルークたちもあわててかけて来る。

「どうしたのヒトミ!?」

ティアが座り込んだ私の肩に手を当てて顔を覗き込んでくるが、返事をすることもできないほど頭が痛い。
額に油汗が滲む。
痛い。

痛い…!!

私の意識はそこでプツリと途切れた。






ふわふわ ふわふわ

浮いている感覚。

あ、なんかこの感覚覚えがある。

あれはいつだったか。すごく最近何だけど…

だめ、何にも考えられない。


「瞳…」


だ…れ?


「瞳、お願いです。」


女の人の声が頭に響く。
重い瞼を必死にあけると、そこにはすごく長くて綺麗なブロンドの髪の女性の姿。


「ライガと戦うのを止めてください。」

ライガ…

「彼女は子供を守っているだけ。何の罪もありません」

でも、チーグルを食べるって言ってるのはライガだよね…
それに戦いに行くんじゃない。
話しあいに行くって…

「ええ。ですが戦うことになるのです。それを、どうか止めてください」

なぜ?

「彼女が亡くなると、とても悲しむ人がいるのです。」


そう呟いたあと、綺麗な女性が両手を広げた。
すると手の上に丸い物体が現れる。
よく見ると、球体の中に何かが映し出されているのに気がついた。
球体は女性の手を離れて、ふわふわと私の手元へとやってくる。

映し出されていたのはぐったりと横たわる動物。
これは…ライガという魔物だろうか。
そしてその横に小さなピンク色髪をした女の子。
ライガに寄り添って肩を震わせている。

画面が切り替わり女の子の顔が映し出された。
ママと呟きながら泣きじゃくる女の子の姿がすごく切ない。

抱き締めてあげたい衝動に駆られておもわず球体に手を伸ばすと、球体がパンっと割れて、同時にひどく辛い気持ちが胸一杯に広がった。

悲しい、悔しい、寂しい、

絶対、許さない。

そんな感情が私の胸を締め付ける。
悲しさで息ができない。
寂しさで死んでしまいそうだ。


「それは、少女の心。」

少女の…

「悲しみは憎しみを生み、憎しみは新たな憎しみを生む。」


この世界は変わらなければならない。
小さなひずみは、やがて大きくなり、ふさがらなくなってしまう。
そうなる前に。









お願いです。

彼女を助けてあげて。



瞳・・・。


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