3人で馬車に乗りこんでからどのくらい経ったのか、私もルークも寝こけてしまい、起きた時には外の景色が全然違っていた。
乗った当初は木々しか見えなかったが、今は広い平野に舗装された道、遠くに青々とした森が見え、後方には大きな橋と河もある。

「すごい!まるでヨーロッパだ!テレビで見た世界がそのまま広がってる!!」

「ヨーロッパ?ってなんだ?」

私の発言に不思議そうに聞いてくるルークとティア。

あああああしまった!
思わず私の世界の事を言ってしまった!

質問の答えに戸惑っていると前方か何か大きな音が聞こえてきた。
ドン!とか、ゴン!とか、まるで爆発でもあってるかと思う音位大きな音だ。
何事かと皆で馬車を乗り出して外を見ると、見上げても見通せないほどの大きな乗り物がこっちへ向かって走ってきていた。
その大きな乗り物の前に小さな馬車が見える。
どうやら小さい馬車を追いかけているようだ。

「そこの辻馬車、道を空けなさい!!」

私たちの馬車のすぐ横を通り抜けた馬車を追っかけて突っ込んでくるもんだから、危うく衝突しそうになる。
衝突どころじゃないよね、あんな大きな乗り物に突っ込まれたらこっちは木端微塵ですよ。
で、あっちはせいぜい機体に傷が入るくらいじゃない?

おじさんの華麗なる運転さばきで衝突は避けたものの、突風にあおられて馬車が左右にぐらぐらと揺れた。
倒れそうになるのを必死で回避し、急停止をする。

「いててて、二人とも、大丈夫?」

揺れが収まり二人の安否を確認するために目をあけると、あら…まぁ。
馬車にもみくちゃになった二人がもみくちゃになっている。
ルークの顔がティアの胸の谷間に埋まってるではありませんか!
なんというトキメキハプニング!!

思わず携帯でパシャっと写真を撮る私。
これ、二人に見せたら何て言うかな。
真っ赤になって怒りそうだな。

なんてほのぼのしていると、バーーーン!と大きい爆発音が鳴り響いた。
気を失っていたルーク達もその音で跳ね起き、急いで外へと出て音の正体を確認すると、先ほど馬車から見えていた橋がボロボロと崩れている光景が目に入る。
きっと橋が破壊された音だったんだ。
呆然と橋が落ちる様を見ていたら、おじさんも馬車から降りてきて私たちの隣へとやってきた。

「あれは軍が盗賊を追ってたんだな!!!ほら、あんたらと勘違いした漆黒の翼!!!逃げらちまったみたいだけど。」

と、なぜかすごく興奮している。

「しかし驚いたなぁ。ありゃマルクト軍最新型の陸上装甲艦タルタロスだよ!」

「「マルクト軍!!?」」

「なんでこんなところにマルクト軍が?」

「キムラスカ軍が戦争を仕掛けてくるってうわさが絶えないだろ?だからこの辺りは警備が厳重なんだよ」

ルークの質問に、おじさんは自分の顎を撫でながら答えた。

「ちょ、ちょっとまって、ここはキムラスカ王国じゃないの?」

ティアの質問には少し怪訝な顔をした。質問の内容がよろしくなかったらしい。

話がさっぱり見えないのだが、どうやら二人は目的地とは正反対の場所に向かってしまっていた。ということは分かった。
Uターン!といきたいところだったが、さっきの逃げた馬車が壊した橋、あの橋を使わないと目的の場所へ行けなかったみたいで・・・

このまま馬車に乗っていても仕方がないので、途中下車をすることになり、とりあえずここから一番近いエンゲーブという村に寄ってもらう事にした。
少し歩くらしいが、他にも行く術はあるんだって。

「それ、着いたぞ。ここが食料の村『エンゲーブ』だ。キムラスカへ向かうなら南にあるカイツールの検問所に向かうといい」

「ありがとうございました。」

辻馬車のおじさんはいろいろとアドバイスをくれた後、私たちをエンゲーブという村まで送り、良い笑顔をして去っていった。

|
Index / IonTop
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -