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まさかの展開です。
困ったことに、私は異世界へ来てしまったらしい。
なぜかは本当に分からないんだけどイオンの居る世界。
オールドラントという、戦争が勃発しそうなヤバイ星。
もう一度イオンに会いたいとは思っていたけれど、まさか私が来るなんて思いもしなった!
そもそもイオンの世界に来るのは良いとしても肝心のイオンが居ないじゃない!
SFとかわかんないけど、星って言うからには広いのだろうし、時間軸とかあるんでしょう?彼に会えるかすら分からないわけで。
学校に行く途中だったから制服のままだし、学校鞄しかもってないしー!
鞄を開くと、中身はと携帯と筆箱とノート。
あとは飴とかグミとかお菓子が入ってる。
携帯をパカリと開いてみたが、やはり圏外表示になっていた。
「ってゆーかイオンのローブがない!!!え、ちょっとどういうことなの!!?」
人がいることを忘れて、一人百面相大会開催中。
すると、だまって様子を伺っていた赤い髪の男の子が話しかけてきた。
私がよっぽど挙動不審に見えたのだろう。
「なんだこの女。さっきから顔が青いけど大丈夫なのか?」
「あ、あんまり大丈夫じゃないです。」
「どこの村の方ですか?巻き込んでしまった以上、私が責任をもって村までお送りします。」
村って!
どうしよう。ここはなんて答えるべきなんだろうか。
異世界から来たので村と言われても困りますって?
でもイオンの話では魔物とか出るようなところなんだよ?一人にされたら絶対無理!
本当のことを言ってどうにかなるかな。
その前に信じてもらえるかだけど…
「うぜー、早くしろよ。俺は早く帰りたいんだっての。」
「ルーク!」
黙ってしまった私に、ルークと呼ばれた赤髪が痺れをきらして催促してきた。
黙っていても仕方ないし、でも異世界とかいきなり言っても怪しい人なので、やはりここはごまかすのが賢明だろう。
「実は私の家には今は帰れないんです。とりあえず帰れるようになるまでどこかで生活はしないといけないんですが、どこに行けばいいのかわからない状態で…」
帰る方法が見つかるまでどうにかしないといけないので、そう、言ってみた。
ちょっとの間黙り込んでたお姉さんだったが、「わかりました」と一言。
私怪しくなかったかな。大丈夫かな。
「私はティア、彼はルークです。どこか安全な村に付くまで、貴方をお守りします。」
「私は瞳です。ありがとうございます!助かります!」
と、言うわけで、とりあえず私はこの二人についていくことになった。
********
「え!ティアって16歳なの???そんでルークが17歳!?」
川沿いに山を下りながら、自己紹介を始めた。
キレイなお姉さんと思っていたティアは私より1歳年下で、わがままな坊ちゃんだなーと思っていたルークは私と同い年だった事にはすごく驚いた。
最初は敬語でぎこちなく話していた私たちだったけど、言葉を交わすうちに徐々に打ち解けて、あまり時間をかけずに友達のような感覚で話すようになった。
ティアは少しクールだし、ルークはわがまま坊ちゃんって感じだけど、二人ともすごく優しくていい人だ。
違う世界に来て不安だらけだが、初めて会った人が彼らでよかったと思う。
「ひえー、人って分からないもんだね、絶対ティアは私より年上だと思ってた。キレイなお姉さんキターって思ったら、キレイな妹だったのか。うん。それはそれでアリかな
。」
「なに言ってんだ?お前」
「ん?ルークだって思うでしょ?あんなメロンにスマートな顔立ち。優しいし良い所取りじゃない!」
「ふーん。よくわかんねーけど…まぁ確かにメロンだな」
「ね、メロンよねぇ」
うんうん。
と、二人でうなずいてたら、ティアからの冷たい目線が投げかけられた。
「二人とも…」こぶしが震えてる気がするので、これ以上は危険だとルークと口を閉める。
「ルークは17歳に見えないねー。ティアが大人びてるからかな?なんかもっと若く見える」
「あん?なんだt『グルルルルル!!』
ルークが言い終わるか終わらないかのタイミングで、茂みの中から何か黒い物体が音を鳴らして飛び出してきた。
「あぶない!!」
ティアが私の前に走り来て杖を構えると、そのまま黒い物体へと飛び出した。
何が起こったのか分からないうちにドォン!という音と共に何かが倒れる。
倒れた物体を見ると、猪よりも一回り大きい動物が血を流して息絶えていた。
「あっぶねー、何だこいつら」
「ルーク!油断しないで!まだ居るわ。」
ティアの言うとおり大きな猪は1匹だけではなかったようで、左右からまた現れた。
ルークも剣を抜き魔物に切りかかる。
映画で見るのとは全然違う初めて見る戦闘シーン。
生き物を殺すという残酷さ、襲ってくる魔物、いろんな意味でとても怖かった。
そして、何もできずに震えて見ているだけな自分が、すごく、申し訳なかった。
「はぁ、はぁ、次から次に出てきやがって!」
「ティア!ルーク!大丈夫!!?」
息を切らしてその場に座り込んでいるルークに駆けよって、背中に手を添えて顔を覗き込む。
少し顔を赤らめて目をそらされたが、大丈夫そうでほっとした。
「お、お前こそ大丈夫だったのか?」
「うん。二人が守ってくれたから大丈夫だったよ」
ありがとうって言うと、すごく恥ずかしそうに「別に心配したわけじゃねーし!」といわれた。
な、ツンデレ??ツンデレなのかコイツは!!
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