次の日、学校に行くの憂鬱だなー、優にあったらどんな顔をすればいいんだろう。と、モヤモヤしながら起きた。
うちの母は結構厳しい方で、ずる休みなんかしようものなら容赦なく蹴りが飛んでくる。
よってサボりの線は却下だ。
クラスが一緒だから、顔を合わさずに居ることもできないし…。

そうこうしているうちに準備も終わり、登校しなければいけない時間になった。
うだうだしてても学校に行かなければ行けないことには変わりないので、意を決して玄関に向かうと、ちょうどよく家のチャイムが鳴り響く。
登校用の白いシューズをはいている途中だった俺がそのまま玄関を開けると、そこに居たのは優だった。

「悟、おはよう。」

思わぬ来客に、心臓が飛び出そうになった。
いつもはばらばらに学校に行っているのに、今日に限ってなんでうちに来るんだ?
まだ心の準備ができていなかった俺は、思わず一歩引いてしまった。
しまったとは思ったが、言い訳する方がおかしいかと、とりあえず朝の挨拶をする。
一瞬優の顔が切なそうな表情になった気がした。
だが、声を聞きつけてやってきた花梨のおかげで、その表情を確かめる事ができなかった。

「優ちゃん、おはよー!珍しいね。お兄ちゃんを迎えに来たの?」

「おはよう。久しぶりに一緒に行こうと思ってね。花梨ちゃんも途中まで一緒にどう?」

「えー、やだよ。なにが悲しくて兄貴と登校なのよ。」

二人の話を横で見ながら、俺は鞄を持って玄関を出た。
後ろから花梨の呼び止める声が聞こえたが、行ってきます、と振り向きもせずに左手をひらひらと振りながら門を出る。

(なんだよ、優のやつ。昨日俺に告白なんてしておいて、なんであんなに普通なわけ?しかも俺が好きとか言いながら、花梨にばっかり話しかけてるし。)

なんだろう。
なんだか、仲よさそうに話をする二人を見て、胸の辺りがモヤっとした。
あんな光景いつものことなのに。。。
モヤモヤとしながら歩いていると、優が追いついてきて声をかけてきた。
だが、なぜか優の顔を見るのが嫌で聞こえないふりをする。
気まずくて顔を合わしたくないと思っていたのに、今はなんだかムカついて顔がみたくない。

「悟…悟。無視しないでよ、悟!」

「聞こえてるよ!なんだよ。何の用!?」

あまりにしつこく名前を呼ぶので、俺は観念して優を見上げた。
俺より10cm近く身長が高いので、近くで話すと見上なければならないことが少しムカつく。
同じ男なのにどうしてこんなに身長差が付くのか。
神様って意地悪だ。

「いや、用っていうか…今日は学校休むんじゃないかって思ってたから…」

「なんで俺が学校休むって思うんだ?休まないよ。」

「だって…俺、昨日…。」

「どうでもいいけど、早く行かないと遅刻するぞ?俺、いつもギリギリにでてるから」

そういって優を跳ね除け、早歩きで学校へ向かった。
少し離れて優が付いてくる。

俺、なんでこんなに優に冷たくしちゃってんだろ。
こんな態度とりたいわけじゃないのに、気付いたら優につらくあたってる自分がいた。
ちらっと振り返って優をみると、無表情で下を向いている。
なにか声をかけてみよか。
だが、開いた口は言葉を発することなく閉じられた。

なんか、俺って嫌なやつ。
自己嫌悪で涙が出そうだ。

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