バフッ。

家に帰るなり、風呂も入らずに布団にもぐりこんだ。
優のことを考えすぎてか、頭がクラクラする。

「好き…か…」

優のことは、もちろん大好きだ。
好き嫌いの激しい俺が、10年以上つるんでるんだ。好きじゃなきゃ一緒になんて居ない。
ただ、それが恋愛のスキかと言われると…。

俺的恋愛の基準って、キスできるか、Hできるかだと思っている。
想像でもできれば多分恋愛の好きなんだと思のだが…優となんて考えたこともなかったし、考えも付かない。
そもそも男同士って時点で考えが追いつかない。

「これ、断ったらどうなんだろ…」

付き合う付き合わない、どちらにしろ今までの関係ではいられないと言うことは漠然と分かっていた。
優とは今まで通りずっと一緒にいたい。
これだけは何があっても変わらない俺の正直な気持ちだ。

だけど、もし断ったとして、今まで通りで居てくれるのだろうか…
幼馴染の関係のままではいけないのだろうか。

コンコンッ

考えているうちにウトウトしてしまい、本格的に寝ようかというとき、扉をノックする音が聞こえた。
半分寝に入っている状態で「どうぞ」と言うと、妹の花梨が入ってきた。

「お兄ちゃん、制服着たまま寝るのやめようよー。ってゆーか電気つけてよ。真っ暗じゃん!」

入ってきて第一声がそれである。
ブレザーは脱いだだろーと、妹を振り返りもせずに寝たまま答えると、「トリャー」とか言う変な掛け声とともに制服のズボンが一瞬で脱がされてしまった。
おま、なんつー早業だコラ!

「ちょ、花梨、そんな破廉恥な事はしちゃいけません!!お兄ちゃんは許しませんよ!」

トランクスまでずり落ちて半ケツになった俺は、急いでトランクスを引き上げて、両手で大事なところを隠すしぐさをした。
それを見た妹は「キモチワルイ」と言って俺のケツを蹴ってくる。
なんて妹なんだ…それに逆らえない俺も情けない兄なわけだが。

「お兄ちゃん、なんか暗いけど…優ちゃんとなんかあった?」

いきなり核心を突かれて、ドキッとする。
それが顔に出ていたのだろう。妹は、小さなため息をついた。
そんなにわかりやすくて良いわけ?と、肩をすくめるしぐさをする彼女をじとっとにらみながら、俺は寝転がっていた姿勢を崩してベッドに座りなおした。

「…なんでそこで優がでるんだよ」

「ん?さっき優ちゃんと会ったんだけど、なんか変だったし…もしかして告白でもされたのかと思って」

「告ッッ!!?」

ありゃー図星か〜って、笑いながら俺の横に座る妹。
え、もしかしてお前知ってたの?
なんでそんなに平然としてるんだ!
そしてなんでそんなに鋭いんだ!!

「優、何か言ってたか?」

「いや、何も。うちの前でお兄ちゃんの部屋をぼーっと眺めてたよ。声かけたら逃げるように帰って行ったから、なにかあったんだろうなって私が思っただけ。」

「そっか、」とつぶやきながら、ひざの上で指を組んだ。
そりゃ、この時間になっても部屋に電気がついてなかったからだろうな・・・。
俺のことよくわかってんだよなぁ。自分が原因のくせにな。

「優ちゃんが兄ちゃんの事好きだなんて、みんな知ってるよ?知らないのは当人だけだと思うけど…で、なんて返事したの?」

なんかすごく自然におっしゃいましたけど、みんな知ってるの?
どこからどこまで?
詳しく問いただしたいけど、怖くて答えを聞きたくないのでスルーすることにした。  
「へ、返事なんてしてねないよ。・・・しなくてもいいって言われたし。」

「ふーん、じゃあどうするのよ?」

「どうするもなにも…俺ら男同士だし。どうもこうもないだろ」

「男同士なんて関係ないじゃん。好きか嫌いかでしょ?お兄ちゃんは優ちゃん嫌いなの?」

「き、嫌いなわけないだろ!!」

「じゃあ好きなんじゃん」

「・・・お前さぁ…そんなに俺と優をくっつけたいのかよ。」

「私は今までくっついてなかった方が不思議だと思うけどね。それに、恋愛ごとでそんなに悩むお兄ちゃんを見たの初めてみたよ。つまりそういうことじゃないの?」

(くっついてなかった方がって…俺ら男同士じゃんか。しかも初めて悩んでるとかさ、そりゃ、相手が幼馴染じゃ悩むなって方がおかしいだろうよ。)

花梨の言葉に、心の中で悪態をつきながらうつむく。
そんなことをいって、俺にどうしろというのか。
考えれば考えるほど答えがわからなくなってきて、またもや布団に突っ伏した。

そんな俺のケツをバシッっと叩いた花梨は、無反応な俺に再度ため息を付いて部屋から出て行く。
 
「優ちゃん、誰かにとられた後で泣いてもしらないからねっ」

なんて捨て台詞を残してたけど。

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