おれ、杉崎悟と草薙優は幼稚園からの幼馴染だ。
いや、だったという方が正しいのか…

というのも、先日、俺と優は幼馴染の枠を飛び出して恋人…というヤツになったんだ。
校舎裏に呼び出されて優から告白をうけ、いろいろあったけど俺も優が好きって気が付いた。
男同士だし、普通の恋愛のようには行かないけれど、毎日はとても充実していてすごく楽しい。

前から一緒に帰っているのに、学校から一緒に帰るだけでもすごく嬉しいって…
ちょっとやばくない?おれ。

でも些細なことがすごく幸せなんだ。




いつものように放課後帰る仕度をしていると、優が帰るお誘いにやってきた。
持って帰るものをチェックし、残りはサブバックに入れて机の横に掛け、優の元へと駆けつける。
本当は教科書とか置いて帰っちゃいけないんだけど、重いし!ってわけで少しでもばれにくくするためにサブバックに入れるなんてしてる。
まぁ、きっと先生にばれてるだろうけどな。

「また置き勉してるの?そのうち先生に没収されるよ?」

「大丈夫だって!とられても優が貸してくれるだろ〜」

いつものように世間話を楽しみながら帰宅する。
優と話しているととても楽しくて、まぁ、もともと学校と家が近いってのもあるけど、すぐに家についてしまう気がするんだ。
今日も気付けばもう家の前に居て、また明日って言わなきゃいけないんだろうけど離れがたい。
それはきっと優も思ってくれてるんだろう。
いつも玄関先ですこし話していくんだ。

「ねぇ悟、明日の日曜って何か用事ある?」

「日曜?いや、明日は用事入ってないけど…なんで?」

「暇ならさ、暇ならで良いんだけど、今日俺ん家に泊まりにこないか?家族…みんな明日の夜まで帰ってこないから」

「…!!」

少し顔を赤らめている所をみると、きっとそういう事のお誘いなんだろうと鈍い俺でもわかった。
一気に俺の顔も赤くそまるが、俺だって健康男子だもん。
正直興味あるし、それが大好きな優とのことなのだからなおさらだ。

「あ、えと、俺行っていいの?」

本当は二つ返事で頷きたいところだったが、喜んでるぞって姿を見せるのが恥ずかしかったの半分、やっぱりちょっと怖いなって思ってしまったの半分で、そんな返事になってしまった。
しかし、俺のそんな返事にたいして、優はこくりと頷いた。

「悟と一緒にいたいんだ」

真剣な顔でそんな風に言われてしまったらいかないわけにはいかない。
俺もゆっくりと頷いた。

「じゃあ泊りに行く。ちょっとまってて、充電器だけとってくるから!」

そう伝えると、俺は急いで自分の家に駆け出した。
別に急ぐ必要はないのだが、あのまま優のそばにいると、恥ずかしさで爆発しそうだったからだ。

玄関のカギをガチャガチャと開けると、勢いよくドアを閉めた。
そして、ずるずるとその場に座り込んでしまう。

「まじかよ・・・・」

鏡を見なくても、自分の顔がゆでたこのように顔が赤くなっているのがわかる。
優と付き合いだしてから、何度かそんな雰囲気になったことはあった。
でも、学校と家の往復な俺たちには、人目を盗んでキスはしてもそういう事はまだ先だろうと思っていた。
思っていた矢先のお誘いだったために、どんな態度をとればいいのかわからない。

顔をぷるぷると左右にふって、優を待たせているのだということを思い出す。
靴を脱いで自分の部屋から携帯の充電器をとって鞄にいれ、再び靴を履いて優の元へ戻った。

「お待たせ!あ、お菓子かなにか持ってきた方がよかった?」

「お帰り!いや、この間母さんがお菓子とジュース大人買いしてたから食べるものならあるよ」

自分の顔が赤いのを、急いだせいにしたくて、少しわざとらしく息をする。
そんな俺の態度に気づいているのかいないのか。
優は、まだほんのり赤らめた顔で笑顔を作っている。

「おばさん居た?」

「いや、まだ誰も帰ってきてなかったから、母さんにはあとでメールしとく」

優の家へのお泊りは、今に始まったことではない。
小さいころから家族ぐるみで仲がよかったので、歯ブラシなんかも俺の分が用意されているし、着の身着のままお邪魔しに行くことが常だった。
最近こそあまり行けていなかったが、勝手知ったるなんとやら。
第二の家と言っても過言ではなかった。
ちなみに、俺の家も優にとっては同じようなものである。

そのはずなのだが、気持ちひとつでここまで変わるとは・・・

「お邪魔しまーす」

誰もいない家へと入り、リビングに飲み物を取りに行った優を置いて、自分の部屋のごとく優の部屋へと足を踏み入れる。
だが、そんな見慣れているはずの優の部屋が、まるで違う場所に見えた。
いつもなら勝手にテレビをつけてベッドにのって漫画を読んでーなんてするのに、全くする気になれない。

入口の端に鞄をおいて、こたつ机にちょこんと座った。
ベッドを見ると緊張してしまうので、ベッドを背にしてなぜか正座である。

「悟、オレンジとコーラとどっちがいい?」

言いながらコップとペットボトルを二つ手にもって来た優は、俺のそんな姿に目を丸くしていた。
いつものおおちゃくな態度と違いすぎるとでも言いたいのだろうか。

(うるさい!俺だって緊張のひとつやふたつするんだよ!)

持ってきたコップとペットボトルを机に置くと、優は無言で俺の横にストンと座った。

横というか、正面というか。

視線が外せない。

「悟・・・」

そして、俺の太ももに右手を置いて、ちゅっっと音のなるキスをした。
もちろん、その...唇に。

黙ってされるがままにしていると、上唇とハムッっと吸われる。
一瞬顔が離れたと思ったら、今度は下唇をハムッとされた。

黙ってされるがままにされているというよりは、緊張しているのと、びっくりしているので、実際は反応ができず固まっていたというのが正しい。
それをいいことに、ちゅっちゅと唇をもてあそばれる。

そのままドサリと、後ろのベッドに押し倒された。

prev next
back
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -