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「あんたウザいのよ!ジェームズに色目使って……」

「ちゃっかりシリウスたちとも仲良くなってるし、」

「調子に乗らないでくれる?」






マートルのトイレ、そんな人気のない場所で三人のスリザリンの女生徒に囲まれるグリフィンドールの赤毛緑眼の美女がいた。






(マートルのトイレなんてベタな場所を選ぶものね。)




女生徒に囲まれる彼女、リリーは溜め息をついた。








「ちょっと!何か言ったらどうなの!?この、穢れた…「リリー!こんなところにいたの?」





と、そこへにっこりと笑みを浮かべながら二人分の教科書を持った少女、ファーストネーム・ファミリーネームが現れた。






「……っ」






女生徒たちの顔は一気に青ざめる。


つい先程まで暴言を浴びせていた少女、リリーはファーストネームのいちばんの親友である。

そしてファーストネームには彼女たちの寮でも特に力のあるベラトリックスを始めナルシッサにルシウス、校内の憧れの的悪戯仕掛け人といった後ろ盾があり、そうでなくてもファーストネーム自身も有名人だ。






「次の授業は魔法薬だったよね。」





ファーストネームはスリザリンの女生徒たちに目もくれずリリーに歩み寄り、女生徒たちから隠すようにリリーの前に立った。







『穢れた血』、そう言われかけたことで彼女が酷く傷ついた顔をしていたから。








「えっと、スリザリンの……誰だったっけ?君たちも授業に遅れちゃうよ?」






にっこりと笑ってファーストネームは女生徒たちに向き直る。



女生徒たちは焦って走り出した。












女生徒たちがいなくなってから、ファーストネームはリリーの手を引いてトイレの外へ出た。









「……ファーストネーム、あの、」

「私もマグルだから。」






リリーの言葉を遮って、ファーストネームは言った。






「私もマグルだし、リーマスも人狼だけどあんなに優しくて頭がいいでしょ?シリウスもブラック家の子だけどグリフィンドールだし、セブルスもスリザリンだけど優しいでしょ?リリーもマグルだけど成績はトップクラス。なんにもおかしいことなんてないでしょ。」







ファーストネームは表情を変えない。









「………ありがとう、ファーストネーム」






リリーは微笑んで、ファーストネームの手を握り返した。







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