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「リーマス?ひょっとして具合悪い?大丈夫?」

「っ、大丈夫だよ。あ、それより僕明後日は出掛けるから」

「ああ、母親の見舞いか?」

「うん。」

「そうか。いってらっしゃい」

「うん……」







私たちは気づいていた。




彼が毎月必ず体調を崩すことも。



その合間に必ずお母さんのお見舞いに行っていることも。





そしてその日は必ず満月の日だということも……






きっとみんな全部わかっていて、でも怖いから気づかない振りをしているんだ。























「……先生、」

「おお、リーマス。急に呼び出してすまなかったのう。お茶の用意は出来ておるよ。」

「いえ、…今日はどうされたんですか?もしかして、僕はやっぱり……」

「退学、になると思ったのかね?そんなわけなかろう。君のような優秀な生徒を退学にしようなどとは思わんよ。」

微笑むダンブルドア。


しかしリーマスの表情は冴えないままだ。







「明後日じゃったのう」

「はい。」

「君が入学して、もう二年が経った。」

「はい……」

「じゃから、もういいんじゃないかのう」

「え………」






「失礼しまーす」







リーマスとダンブルドアしかいなかった校長室。


そこにファーストネームが入ってきた。









「先生、今日はどうしたんです?ってあれ、リーマスじゃん」

「………ファーストネーム」

「うん?」






リーマスはダンブルドアを見た。


彼は何も言わない。














「ファーストネーム、ずっとずっと……僕は君に嘘を吐いていたんだ。」

「うん。」

「僕は、僕は……」









窓にはもうほとんど円に近い月が浮かんでいた。




ああ、本当はわかってるんだ。
ファーストネームもジェームズもシリウスもリリーもピーター…はどうだろう、とにかくみんな賢いから。
母親のお見舞い、なんて誤魔化し続けてきたけどもう僕たちの付き合いは二年以上になる。不自然だってことぐらい気づいてるだろう。
なんだか、もうどうでもよくなってきた。







そこまで考えて、リーマスは自嘲気味に笑って口を開いた。










「僕はね、人狼なんだよ。……ファーストネーム」












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