03 船着き場からホグワーツに行き、今は組分けの真っ只中である。 ………ファーストネームは話を聞いていなかったためわかってないが。 「少年、少年」 「(少年……?)僕のことかな?」 というわけで隣にいる鳶色の髪の少年に聞いてみることにした。 「うん。はじめまして」 「はじめまして。僕はリーマス・J・ルーピン」 「ファーストネーム・ファミリーネームです。ところで今って何やってんの?」 なんの脈絡もなく言われた質問に一瞬彼はポカンとしたものの、すぐに4つの寮と組分け帽子について話してくれた。 「うんうんそっか。ありがとう。ずっとあのダサい帽子なんだろうって思ってた」 「ファーストネームは入りたい寮とかあるの?」 まったくもって失礼なことを言うファーストネームをあっさり流してリーマスは聞いた。 「えー…特にないかな」 「そっか」 「リーマスは?」 「僕は……」 リーマスが何か言おうとする前に「リーマス・ルーピン!」というマクゴナガル先生の声が聞こえた。 「あ……じゃあ、行ってくるよ」 「ん。またねー」 その後彼はグリフィンドールに入ることに決まった。 「ファーストネーム・ファミリーネーム!」 名前を呼ばれてファーストネームも前に出る。 「………っ!」 生徒達は息を呑んだ。 理解出来なくもない。 黙ってさえいればファーストネームは結構整った顔立ちをしている。 自分の寮に来て欲しい、と思う生徒もそれなりにいるだろう。 「……あぁ、やっと時期が来たのか」 「………へ?」 「君は本当に変わっていない」 「………(どうしよう意味不明なんだけどひょっとして私のせい?え、嘘マジで?)」 「いや、すまない。こっちの話だ。 さて、君はいつだってそうだ。どの寮にも入れる。 君はどこに行きたいんだね?」 「………私は、」 ファーストネームは開いていた手をぎゅっと握り締めた。 「強くなりたいんです、帽子さん」 「………」 帽子は少しの間静かになって、「では、」と言った。 「君が守りたい人を守れるように 君を守る人を見失わないように 迷ったとき自分で道を拓けるように願ってここに決めよう ……グリフィンドール!!」 帽子が言った寮にグリフィンドールのテーブルからは盛大な拍手と歓声が上がり、他のテーブルからは少し残念そうな溜め息が聞こえた。 ファーストネームはグリフィンドールのテーブルへ歩いていく………席なくね? 「君!ここ空いてるよ!」 そんなとき眼鏡を掛けた少年に声をかけられた。 彼は空席になっている自分の隣を指す。 |