03




こんなことを言うつもりはなかった。

だってこんな本音を聞いたら普通みんな僕から離れていく気がしたんだ。





自分を見せるのが凄く凄く怖かった。









「私は好きだよ、ピーターのこと」







それでも彼女に話してしまったのは、







「ピーターが誰よりも周りに気を遣ってくれてるって知ってる。ピーターがフォローしてくれるからあの個性が強すぎる馬鹿どもが上手くまとまってることだって知ってるよ。」







彼女の雰囲気が、声が、優しくて安心させるから







「でもピーターは思い上がったりしないでしょ。ピーターは自分の短所から目を逸らさずに向き合ってるでしょ。」







僕の口は僕の心がずっと叫んでたことを勝手に話し出すんだ。







「………え…」







気がついたら勝手に涙がこぼれてた。

変なの。




涙は僕の意思に逆らって止まる気配を全く見せない。


















僕が泣いてる間、ファーストネームは何も言わずに隣にいてくれました。














「………ありがとう、ファーストネーム」






明日からはまた、四人で笑いながら次の悪戯を考えるんだ。












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「見えない臓器の名前は」
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