私は自分が嫌いだ。



「名前!はよー」

「おはよー」

「おはよ!」




嫌い嫌い大嫌い。世界中の誰よりも嫌い。何より自分をいちばん可愛がってるところが虫酸が走る。わかってるのに改めないのがより一層むかつく。



「名前おはよ」

「おはよーってあれ?髪巻いてるじゃん」

「おう!可愛い?」

「えー…」

「なにその反応」



私にとって笑顔は武装で、大好きは武器で、信じてるは虚勢だ。友達は多いのに誰からも好かれてる気がしないひどい人間不信者だ。まず自分から愛さなきゃ、なんて誰かが言ったけど私はちゃんと好いてるつもりだ。まぁ多分その思い上がりがすでにアウトなんだろうけど。



「名前眠そうだねー」

「そうだねー……学校行かんとずっと眠ってたいわ」

「それだとあたしに会えないよ?」

「夢の中で会おう」

「ふざけんなや」





だって




ずっと眠ってられたら何も考えなくていいじゃん











「って考えてるんじゃない?」

「……………何の話」

「わかってるでしょ?僕は君のよき理解者だからね」





なんて、目の前の人物、入江奏多は言った。


悔しいことにぜんぶ図星だったりする。







「大丈夫だよ。別に君だけがそんなドロドロした思いを抱えてるわけじゃないし。」

「……………嘘。」

「ほんとだよ」




そんなの信じられるわけないじゃん、馬鹿。






「信じてもらえないならせめてこれだけはわかってて欲しいな。」

「……………何」

「君のそういうところを知ったからといって、僕は君を嫌いにはならない。」






それはいちばん欲しかった言葉

(ありのままのわたしをあいしてほしかった我儘)





× T ×


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