―登校編―






ふわぁ、と欠伸をしたら息が白くなる。
もうすっかり冬だな、とか思ったり。

朝、同じ制服を着たたくさんの生徒の中をひとりで登校する。
ジャッカルは先生に呼ばれただかなんだかで先に行ってる。
はっきり覚えてねーけど。



マフラーに顔を埋めながらこの時間に登校すんのも当たり前になってきたのを実感した。
夏は毎日朝練があってほとんど人がいねー時間に登校してたのにな。


自分が引退したことを改めて感じて少し寂しさに浸っていたそのときだった。
道のど真ん中にばかがいた。



「さっむーーーい!!!」



そう叫んだこの寒い中ブレザーしか着てねーばかは言わずもがな元俺たちのマネージャーだった。
手にはキャラクターのカバーに入ったカイロらしきものを持っている。

カイロだけでこの寒さを凌げるとでも思ったのかよばか。
俺のめったにないシリアスムード返せよばか。




「おはよう名前。朝から近所迷惑だから路上で叫ばないでくれるかなこのばかが。」


次の瞬間、そういって現れたのは元部長の幸村くんだった。
にっこりと微笑みを浮かべている幸村くんは一応あのばか女の彼氏だったりする。



「あ、幸村!おはよ!寒いね!」

「そうだね。ただでさえ寒いのに名前は何寒々しい格好してるのかな。ふざけてるの。」

「だってカイロで十分って思ったんだもん!」



やっぱりそうだったのかよあのばか。

疑問詞を使わず話す幸村くんにあいつはまたデカい声で答えた。




「でもおかげで手だけはちょうあったかいよ!手だけは!」

「はいはい…でも格好は戴けないなぁ」



幸村くんはそう言って自分が着けていたマフラーをあいつに巻いた。



「え、いいの?」

「あ、要らないなら返してくれても構わないよ?」

「要るっ!」




幸村くんは意地悪そうな笑顔でを浮かべながら本日初めて疑問詞を使った。
焦ってこたえるあのばかに幸村くんはクスクスと笑う。








と、そのときだった。


あいつは幸村くんの右手に自分の左手を絡めた。






「マフラーなくなったら幸村寒いでしょ?私手だけはあったかいから!」




あいつはそう言ってガキみてーに明るく笑った。











「………うん」







あれ?
幸村くんちょっと顔赤くねぇ?







二人はそれから仲良く手を繋いで門まで行った。
これだけは言わせてほしい。



「……リア充爆発しろ」



あー俺も彼女ほしいわ






× T


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