初めて見たとき、彼女はヘッドホンをして歩いていた。




休み時間、彼女はいつも読書に励んでいた。



そして今、彼女は土砂降りの雨の中を傘も差さずにびしょ濡れになって歩いている。








彼女はまるで周りを拒んでいるようだった。

いつだって話しかけないで欲しいと全身で示してるようだった。

ヘッドホンも本も差さない傘も、全部が彼女が世界を拒絶するための武器なんだと思う。






俺は、そんな彼女にひどく惹かれた。





とても魅力的に見えた。










ただ周りをよく知りもしないで傷つきたくないからと恐がり拒絶することで身を守ろうとするようなゴミみたいな人間には到底興味をそそられたりしないけど、
彼女はそんなものとは違って見えた。






彼女は今もそれまでに見たときも俯いたりせず真っ直ぐ前を見据えて歩いているからだ。













だから俺は、走って俺の傘を彼女の頭の上にかざしたんだ。










振り向いた少女の瞳は真っ直ぐでした



「えっと、どちら様でしょうか?」






× T ×


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