初めて会ったときはどこで何をしてたんだっけ。
ああそうだ、確か道に迷ってたから案内してたんだ。



それから学校の廊下で見かけて、あれおんなじ学年だったんだって思ってたらにっこり笑って挨拶してくれて、慌てて返したら彼はクスクス笑って自己紹介してくれた。
そのときの出会ったときとは違う作った感じのしない笑顔がどうしても頭から離れなかった。
今思えばあのときからもう私は彼に惹かれてたんだろう。




休みの日は確か母親へのプレゼントに花を買いに行った花屋で偶然彼と会ったっけ。
サボテンを買いにきたって言ってた。
初めてテニス以外で彼の好きなものを知ったんだ。




友達がテニス部に好きな人が出来たから一緒に練習を見に行って欲しいと言われてなんなんだよ面倒くせーな私はあんたのお母さんじゃねぇんだよと悪態をつきながらついて行ったとき、初めて彼がテニスをしている姿を見た。
今まで見たどんな彼より格好よくて、今まで見たどんな彼より輝いて見えて、そのとき初めて私は私の恋心に気づいたんだ。




私は可愛いくないし、そんなに明るい性格でもないし、彼とは偶然すれ違えば挨拶をして、ばったり会ったら話す程度の関係だった。
それ以上なんて考えられなかった。




ついさっき、彼と女の人を見かけた。


やっぱり彼女なんだろう。
私の誤解でも早とちりでもなんでもない。












だって、ずっと見てたから。

わかるんだよ。












叶う恋だなんて思ってなかった。
叶えようとすら考えなかった。


そんな恋でも胸はしっかり痛くなるようで、さっきから私は立ち止まったままだ。






空は凄く綺麗に晴れていた。




真っ青な空。

ほんとう、なんて鬱陶しいんだろう。











こんな空の下じゃ、泣けないじゃないか。










思いをぶつける場所ならありません



出会ったときと同じ空の色だなんてロマンチックな話、ばかみたい。






× T ×


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