「初めまして。ブンちゃんの幼なじみの苗字名前です」



今、私の目の前には我が校が誇るテニス部のレギュラーの皆様がいらっしゃいます。


というのも、幼なじみのブンちゃんが急に「今日部活見学に来ねぇ?」なんて言い始めたのがきっかけだ。
もちろんあいつは私に部活を見に来てほしかったわけじゃなくて、ただ単に今日は帰りにアイスを奢る約束があったけど私は帰宅部だから暇じゃないように、といった理由だ。




「真田弦一郎だ」



……うん。
面識のない人だ。


だいたいテニス部の知り合いなんてブンちゃんとブンちゃんに紹介されて仲良くなったジャッカルと偶然隣の席になった幸村と平部員の山田ぐらいだ。
つっても山田は去年クラス別れてからまったく話してないけど。



「仁王雅治ナリ。よろしく」

「あ、うんよろしく」

「呼び方はまー君でよかよ」

「え「じゃあ俺もせーちゃんでいいよ」……はぁ?」



神様、あなたの息子さんご乱心されてますよ。



「ブン太のことだってブンちゃんって呼んでるんだしいいでしょ?」

「かなり無理あるからねそれ」


何がいいでしょだ幸村なんてゆっきーで十分だろ。



「だいたいまー君とかせーちゃんとか呼んでたら私イタいじゃん」

「大丈夫じゃ。イタい名前でも愛せる自信あるきに」

「じゃあなんで半笑いだ言ってみろこのやろう」



私この人と初対面だよね?



「ねぇ、呼びなよ」

「名前ー」













「いい加減しつこいよ、雅治、精市」




「「!!」」






「これじゃあ駄目かな」というと無言で頷かれた。なにこれ怖い。









((……やばい、正直ドキッとした))






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