やわらかな日差し - 4
しばらく黙りこくっていると、肩に感触が。

眠っているアリーナが頭をもたれさせてきたのだ。
「ひ……姫様……?」
ますます赤くなるクリフト。夕焼けのせいか、それとも―――。

「昔から姫様は私の憧れの人でした……」
何を思ったのか、ぽつりぽつりと話し始める。
「元気があってすごくお強い。どなたにもお優しいし、常に前向きでいらっしゃる……まさに、理想を絵に描いたような方だと思っています。……私とは何もかもが正反対で……」
ふうーっとため息をつき、続ける。
「けれどたまに女の子らしい一面も見せる姫様がずっと前から好きで……でも私の身分では……っ……」

いつからかクリフトの目からは涙がこぼれていた。
「そ、それでも……私はずっと姫様のそばにいて……姫様をお守りしたいですし……姫様のお姿を見ていたいのですが……」
クリフトの言葉はそこで止まった。
涙で言葉が出て来ない。

すると、横で眠っていたはずのアリーナがクリフトの胸に顔を埋めていた。
「クリフト……私のことそんなに思ってくれてたんだ……」
「ひ…め……さま?」
「ごめんね……クリフトの気持ちに気づいてあげられなくって……」
「い……いえ、私の身分では叶わぬ夢ですから……」
「叶わない夢じゃないわ……身分なんて関係ない。私も、クリフトがずっと前から好き……だったんだよ?」
アリーナはクリフトに抱きついた。

「ひっ……姫様ぁ〜!」
クリフトの目から涙が溢れる。
「もー、大げさよ、クリフト……」
アリーナはそんなクリフトに優しく笑った。


やっと通じ合った2人の思い。
その2人を沈みゆく夕日が優しく照らしていた。
そして、2人の影は長く長く伸びていくのだった―――。


end
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