やわらかな日差し - 1
「はぁー、退屈だなー……」

ベッドに腰掛けて足をぶらぶらさせる少女―――サントハイム王女、アリーナは、ため息をついていた。
旅の間は自由に行動できたが、全てが終わってまた以前のように部屋でおとなしくしていなければならなくなってしまったのである。
……とは言っても、城内の散策は自由だったので、完全に閉じ込められているわけではない。しかし、世界中を歩く大冒険をした彼女には、サントハイム城はあまりにも狭すぎた。

「……暇だし、クリフトとでも遊ぼうかなっ」
アリーナは部屋を出ると、真っ直ぐ祈りの像に向かった。昔なら間違いなく部屋の壁をぶっ壊して抜け出していただろう。アリーナも旅の間に成長していた。


一方、祈りの像前では。
「……………」
まだ若い神官―――クリフトは、お祈りの真っ最中だった。
彼は王家に仕える身分のため、アリーナのように暇ではなかった。もっとも、旅の功績を認められて位は上がったが。

クリフトが一心にお祈りをしていると、後ろから明るく聞き慣れた声が。しかし……
「クリフト!遊ばない?」
「うわぁっ!」
聞き慣れた声とはいえ突然のことに驚く。そして2、3歩よろけて尻餅をついた。
「ひ、姫様……びっくりするじゃないですか……」
「ごめんね、驚かせちゃって……」
間近で聞くアリーナの声に、心臓が高鳴る。
「退屈してたの。クリフト、遊ばない?」
その言葉にまたドキッとする。
「き、今日の職務は全て終わりましたので、良いですけど……」
「やったぁ!じゃ、行こっ!」
アリーナはクリフトの手を引いていく。
そのあまりの強さに、思わず前につんのめる。

「ちょ……姫様!?」
(ひ、姫様が私の手を……)
クリフトの心臓はますます高鳴った。そしてそのままアリーナに、手を引かれるままについていった。
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