あの頃のままで…… - 4
……そして、それから2年後。


「かんぱーい!」
兵士たちの声が響く。
今日は年に一度のパーティーの日。
俺は空を見上げた。

あれから1年。
あいつら、元気でやってるかな?
「最近顔見てないよな……みんな変わってるかな?……いや、ムーンはともかくとしてあのサマルが変わってるわけない。うん、絶対ないない」

変わってたらそれはそれで面白いことになるかな。
ハーゴンとシドーを倒して1年。
あの日にここで誓ったんだっけ。
「1年後、またこの場所で会おう」って。俺が言い出しっぺだったけど、まあ今はなんだかんだで王になっちゃったからな、パーティーも実は俺が主催者だったりする。

「王様!」
「ん?何だ?」
「お2人がご到着されたようです」
「ほんとか?サンキュー!」
俺は一目散に2人の元に走っていった。

やっぱり2人とも変わってなかった。でも、ムーンはきれいなドレス着てるし、サマルなんかご丁寧に冠まで。

……………冠!?

「ローレ、王様がそんな子供みたいに走らないでよー、見てて恥ずかしいじゃないか」
「ちょっと待て、なんだその冠は」
「これ?僕のだよ」
「はぁ!?」

俺が焦ってたら、後ろからサマルトリアの兵士がやって来た。その中で一番偉そうな兵士が寄ってくる。
「これはこれはローレ王、お久しぶりです。この度はパーティーにお招き頂きありがとうございます」
「いや、礼を言われるほどのことじゃ。元は俺が2人に会いたかっただけだし。王になったら城を抜け出すこともできねーからな……」
「それはそれは……サマル王も同じご心境でありました」
「……はい?」
間抜けな声が出てしまった。

「じ、じゃあ……」
「うん、僕、王様になったんだ、いいでしょ?」
「うそー……ってか俺も王様だからな……じゃあムーンも……?」
「はい。ムーンブルク王国第6代王位継承者、ムーンです」
「ぬぁにぃ!?」
突然のことに、俺は言葉が出て来なかった。
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