あとがき
あとがき

まずはここまでお読みいただき、ありがとうございました。後書きに先立って、ひとことお礼を申し上げます。

さて、今回はかなり長めの作品となりました。数週間前に、私の中でふっと頭に浮かんだものを、そのまま、ただそのまま書き殴ったものになっています。
アリュードの旅行記。中心のコンセプトはこれに尽きます。本編中ではあまりスポットライトを当ててあげられなかったキャラクターでしたので、いつか彼が主人公のお話を書きたいな、とは常々考えておりました。

さて、アリュードをメインとしたそのきっかけなのですが。お話を考える上で、拙作を読み返していますと、以下の会話が書いてあったんですよね。

アンナ「…で、みんなはこれから先、何かしたいこととかあるのかい?」
アリュード「うーん…剣もいいけど、僕は絵の腕に磨きをかけたいかなぁ。みんなと旅をして、いろんな風景を見てさ、いっぱい描きたいものがあるからね…」
セリス「へぇー。いいんじゃないか?諸国漫遊しながら、絵に没頭するってのも乙なもんだぜ…」
(第2編37章、35ページより)

これだ、と思いました。微妙に目的が違いますが、本作を執筆する理由にはなるだろうと。
もうひとつの理由として、まず誰かに世界を旅して欲しかったわけなのですが、一口に旅と言っても、本編(特に第1編)のようにただひたすら敵をやっつけていく、というのはちょっと書きづらいな、と思いました。何か別の目的があれば書きやすそうだ。だったら、ちょうどいいきっかけを見つけているし、絵が描けるという特技を持ったアリュードに任せてみようと思ったわけです。

最後のページでお分かりかも知れませんが、ラストの数行を除き、本作は全編を通してアリュード自身の手記ということになっていますが、そうすると文章中では違和感の拭えない箇所も多分にあるとは思います。例えば「今は…だ」というような、その時点でのリアルタイムの心境は後に書いたものと考えるとおかしな気がしますね。しかしながら、私はアリュードに絵だけではなく、旅の記録も克明に、詳細に形として残してほしいな、と思ったのです。それゆえ、半ば無理を通して一冊の旅日記を綴ってもらうことにしました。
そういった部分については、あまり気にせず読んでいただけていたらありがたいです。

そして、本作ではアリュードだけでなく、本編中で特に登場が多かったキャラ(アルム、セリス、レイシア)以外のキャラにも登場してもらって、お久しぶり、と言葉を交わしてもらいました。ルーナも結構本編で登場しましたが、今回は後半の方で便利屋として出てもらうことにしました。例外としてアンナが出ていないのですが、彼女については、またいずれ何らかの形で書きたいなと思っているので、もう少しお休みを…ということで。
教師陣については、全員出してしまうとやたらと長くなってしまうと思ったので、ラルドとキット以外にはお出かけしてもらいました。

書いていく上で悩んだのが、時間の設定です。これは私の過去の作品で統一されていなくて、結構いい加減なところになっています。例えば本作ではムオルからダーマまでを五日で移動したわけですが、第2編ではルプガナからドラゴンの角までを「歩けばひと晩」なんて言っているのです。
原作の昼夜の時間変化を考慮するとどうなのか、というところもありますが、今回は長旅(一ヶ月程度ではありましたが)であることを強調したかったので、少し世界を広くしてみました。地図とにらめっこしながら書き進めたので、本作中に限れば地図上の距離と所要日数との間にある程度の整合性は取れているものと思います。とはいっても、一ヶ月で世界の半分くらいを飛び回ったのはなかなかハードワークかもしれませんけれども。

また、アリュードにとってこの旅は終始楽しいものだったわけですが、現実では、自分がやりたいことを自由にやる、というのはなかなか難しいものです。私自身、山のようにあるやりたいことをどのくらいできているのかな、と考えてみると、それは全体の何割に届くのか、といったところで。
自分ではそれが実現できていないので、代わりにアリュードにやりたいことをやってもらった、という意味も少し込めました。随所に私の小さな望みといいますか、そういったものを散りばめた作品になっています。

重要な絵の数が七枚であることについては、一応理由はあるにはあるのですが、あえてここでは深く言及しないことにしたいと思います。
その他、いろいろな箇所について言いたいことはあるのですが、それを書き連ねていきますと後書きだけで数ページ食ってしまうことになりますので、この辺りで止めておきます。

さて、それでは締めのご挨拶を。
本作が、2014年最後の更新になるかと思われます。
上半期までは音沙汰一つありませんでしたので、皆様には愛想を尽かされたかなと思っていましたが、サイトの移転を含めて下半期の更新の際にはいくつかありがたいお言葉を頂き、大変うれしい限りです。
これからも、自分のペースで、ではありますが、のんびりとやっていけたらなと思います。暇な時に覗いたら更新されていて「おっ!」と皆様に感じていただけるような、そんなサイトを目指していきたいと考えております。
本年も多くの方々に支えていただきましたこと、心より感謝申し上げます。そして、2015年も私、Kuromと『ムゲンノセカイ』をよろしくお願いいたします。
お読みいただき、本当にありがとうございました。
それでは、よいお年を。


2014.12.22
管理人 : Kurom(くろむ)
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