その時が来るまで - 3
泣いてる顔を見られたくなくて、わたしは彼の胸に顔を埋めた。
―――泣いてる場合じゃない。
わたしが、彼を守らなきゃならないのに。
これじゃ、わたしが彼に守られてる。
―――でも、素直に嬉しかった。
その時、彼の両腕がゆっくりと離れた。
「…そろそろ帰らなくちゃ」
「あっ…」
「…大丈夫、ぼくはどこにも行かないよ。ずっとシンシアのそばにいる」
「ソロ…ありがと…」
「じゃあね、また明日。…おやすみ、シンシア」
立ち上がった彼の顔は、もう昔みたいに気弱な少年じゃなかった。
だから、その時は不思議と安心できて、わたしは「ソロ…おやすみ!」って返せた。
そして、その背中が見えなくなるまでずっと目で追いかけて、強く誓った。
―――わたしは、彼を守ってみせる。
絶対に、守ってみせる。
「その時」が…来るまで―――。