その時が来るまで - 1
わたしは、守り続ける。
何よりも大切な、あの人を―――。
森に囲まれたこの村で、今日も一日が終わろうとしている。小川の土手を照らす夕日をぼんやり眺めて、ため息一つ。
―――今日も、無事に終わって良かった、って。
「シンシア!」
背中に響いた明るい声に、わたしはゆっくりと振り向く。
「ソロ!」
「やっぱりここにいた。シンシアって、本当にここが好きなんだね」
「うん、ここならお魚とも、お花ともお話できるから」
そう言ったわたしに、何の曇りもない笑顔を向けて「そうだね」って。そんな彼の動き一つ一つに、わたしは目を奪われる。
「…どうしたの?ぼくの服に、何か付いてる?」
「えっ、いや、なんでもないわ。気にしないで」
ふと、わたしは花畑に咲き誇った花をいくつか摘んで、花冠を作ってみた。
「すごい…きれいだ」
「でしょ?はい、ソロにプレゼント!」
「…いいの?」
「うん、もらってくれると嬉しいな」
わたしが差し出した冠を、嬉しそうに受け取ってくれたから、私も嬉しくて二人で笑った。
…こんな毎日が、ずっと続けばいいのに―――。