Epilogue-10
アルム「…それでは、パーティーを始めたいと思います。今日はみんな、目一杯楽しんで下さい」

主賓も到着したところで、静まった広間にアルムがパーティーの開始を宣言すると、どこからか大量の料理が運び込まれてきた。

セリス「それにしても、お前も出世したよな。準隊長だなんて…離島生活してる俺とは雲泥の差だぜ」
レイシア「本当よね。でも私はアルムが18歳でもう準隊長になってるってことにびっくりしてるわ」
ルーナ「ねー、準隊長ってそんなに偉いの?あたしよく分かんないんだけど」
アルム「そんなことないよ、セリス。それにぼくから見れば、きみもレイシアと楽しくやってるみたいだしね」
レイシア「…知ってたの?」
アルム「いや、全然。ただ、2人が前よりすごく近く立ってるし、なんだか雰囲気で分かるよ」
セリス「はは…やっぱ準隊長どのには頭が上がらねーなこりゃ」

照れ隠しにそっぽを向いて頬を掻くセリス。アルムはルーナを見ると、先の質問に答えを返した。

アルム「兵の階級を階段にたとえたら、大体真ん中よりちょっと上ぐらいのところだと思うよ。まだまだぼくより偉い人はいっぱいいるんだ」
そう言ったところで、1人の兵士が人混みを縫って現れた。

*「準隊長、メルキド北部の街道に新たな魔物が出没したとの情報が…」
アルム「ありがとう、その件はぼくの方で処理しておくよ。それよりも、今はパーティーを楽しむこと。いいね?」
*「はっ!」

兵士はくるりと背を向け、引き返していった。

セリス「…暇じゃねーのな、準隊長ってのも」
アルム「あはは、まあね。ちょっとぼく、他も見てくるよ」
レイシア「ええ、みんなと話をしてあげるといいわ」

アルムは3人と別れると、人混みの中から5人の姿を見つけ出した。エド、ルージャ、ノイル、そしてタア。何度か目にしている意外な組み合わせだったが、アルムにとってさらに意外だったのはリーアの存在だった。

アルム「…へぇ、そうなんだ。おめでとう、2人とも!」
タア「お、おう…サンキュ」

今まで散々冷やかされてきて、アルムだけは素直にタアを祝福したので、タアも素直に礼を言ってしまう。

アルム「…みんな、変わっていくんだね」
エド「まあ、おれたちは成長期だからな!でかくならないと困る!」
ルージャ「タアはもうあんまり変わんないと思うけどね!」
ノイル「…2人とも、アルムはそういうことを言いたいんじゃないと思うけど…」

この3人は、見た目こそ見違えたが中身はさほど変わっていないようだ。

タア「…そんなに変わったか?」
アルム「うん、変わってるよ。何かうまく言えないけど、前よりいい顔してる」
リーア「やっぱりそう思います?わぁ、なんだか気が合うかも!」
タア「…分かんねぇな」

小難しい顔で、タアは背を向けた。

アルム「あっ、タアが拗ねてるんでぼくはこれで」

タアには聞こえないようにリーアに告げて、アルムは別の仲間の元へ向かった。リーアは微笑みながら、タアの手を引いた。

タア「おわっ、何だよ!?」
リーア「ほら、行こっ!」

屈託のない笑顔で手を引くリーアを見て、今日は頭が痛くなりそうだとタアはかぶりを振った。
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