Epilogue-9
レイシアが向かった先は、裏庭だった。その隅には、3つの墓標がある。その前に跪き、レイシアは口を開いた。墓標の2つはセルとルイの両親、そしてもう1つは―――。


レイシア「…ただいま、ロエン」


―――5年前、姉を敵に回し、誰よりも苦しみながらこの世を去った13人目の仲間、ロエン=シートルの墓標であった。彼はここに眠ってはいないが、彼女の提案でこの場所に墓を立てることを決めていたのだ。

レイシア「あれから5年経ったけれど、みんなは変わらず元気でやってるわ。あなたは…お姉さんと会えたのかしら?会って…仲直りできたのかしら?」

レイシアの言葉に合わせて、一同も祈りを捧げる。やがて、レイシアは目を開けて、ゆっくりと立ち上がった。

レイシア「お待たせしてすみません。出発しましょうか」
*「皆様も、もうよろしいですか?」

使者の言葉に、皆は頷いた。そして、使者の後に続き、大きな船に乗り込む。

エド「うわぁ、でけーっ!!」
ルージャ「本当だ、こんな大きい船は見たことなかったよ!」
ノイル「やっぱりラダトームってすごい国なんだね…!」

この3人は5年経っても相変わらずである。前後左右に目を向けながら、そのあまりの巨大さに度肝を抜かれているようだった。

リーア「すごいね、海ってこんなに広いんだ!」
タア「イシスじゃこんな景色見れねぇからな…ま、存分に楽しんどけよ」

フレア「お食事会かぁ…どんな料理が出るんだろ?」
ルーナ「あたしたちの好きなものだといいけどねー」

エリス「おにいちゃん、あのうねうねしてるのってなに?」
アリュード「えっ?あぁ、あれはクラゲっていうんだよ」

船の大きさもさることながら、その速度も半端ではない。ルプガナ港を出港して約2時間、アレフガルドの地が見え始めてからは、ラダトームの港まですぐだった。船を下り、城門の前までやって来る。

*「本日の食事会にお招きした方々を、お連れ致しました」

見れば分かるのだが、使者は丁寧にも衛兵にそう言った。別段衛兵は何をすることもなく、「どうぞお通り下さい」と道を空けた。

城門をくぐり抜け、いよいよ大広間に足を踏み入れる。さすがは最古から続く大国、その規模は5年前のルプガナでのパーティーを遥かに凌ぐものだった。尤も、呼ばれているのが我々だけでないのは分かっているが。

やがて、広間の向こうから、1人の兵士がやってきた。その兵士は、甲冑を身につけていない。赤いマントを羽織り、式典に着るような服を着ていた。

アルム「ようこそ、ラダトームへ!!」

アルムは笑顔で、一同を迎えた。その言葉には、5年分の思いが、これ以上ないというほどにこもっていた。
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