Epilogue-8
ラルド「…さて、本当に久しぶりだ。こうして皆、ほぼ全員で集まるのは実に5年ぶり。月日が流れるのもずいぶん早いものだと、しばらく感慨に耽っていたいところではあるが…」
各々の挨拶が一通り済んだところで、ラルドが口を開いた。彼だけでなく、久々の再会を喜び、騒ぎたいのは皆同じことと見える。が、それも今しばらくの我慢。ここには、まだ姿が無い者もいる。
キース「ふわ〜ぁ…みんな早ぇな。眠たくてしょうがねーよ…」
クラリス「あなたたち…やっと起きたのね。もう少し遅かったら、置いていくところだったわよ?」
ディル「おっ、お前ら久しぶりじゃねえか!元気してたか、えっ?」
アレク「…ダメだこりゃ」
ディル「ま、5年も経った今になって、誰か来れないヤツもいるんじゃねえかと思ってたんだけどな。結局、みーんな暇だったってわけだ。1人を除いてな」
そうだ、と顔を見合わせる全員の頭の中には、同じ人物の姿がある。
ラルド「予定では、じきにラダトームから船が来る。それに乗って、ここにはいない最後の1人の元へ行く」
一体何であろうか、この緊張感は。ただ国が催す、和やかな食事会の誘いを受けたというだけなのに。5年という歳月は、まだまだ若い彼らにとってあまりに長かったのかもしれない。
セル「…なぁ、あれじゃないか?」
塀の上から、セルが港の方向を指差す。そこには、大きな旗と帆が見えた。紛れもなく、ラダトーム国の船である。
セリス「…なんかあれだな。変に緊張するっていうか…そんな感じだよな」
ルーナ「うん、あたしもちょっとドキドキしてるかも」
フレア「???」
アルムとさして関わりの無かったフレアには、ルーナの心境は計りかねるものらしい。
やがて、大きな船は港に着き、迎えの使者がこちらにやって来た。
*「皆様、本日は我が国の催しにお集まり頂きありがとうございます」
ラルド「こちらこそ、このような国を挙げての催しにお招き頂いたこと、大変嬉しく思っております。ところで、アルム=レンバートはどちらに…?」
*「レンバート準隊長でしたら、城の方でお待ちです。皆様とお会い出来るのを、首を長くして待っておられます」
使者の話し方、素振りを見聞きして、本当にアルムは出世したのだということを改めて感じる一同。出発してよろしいですか、と使者が尋ねた時、レイシアがこう言った。
レイシア「あの…少しだけ待って頂いてもいいでしょうか?」